新潟県議会 > 1976-12-15 >
12月15日-一般質問-03号

  • "日本農業"(/)
ツイート シェア
  1. 新潟県議会 1976-12-15
    12月15日-一般質問-03号


    取得元: 新潟県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    昭和51年 12月定例会 本会議昭和51年12月15日(水曜日)  議事日程 第3号    午前10時 開議第1 第118号議案から第121号議案まで第2 第152号議案第3 請願第48号から第67号まで第4 陳情第75号から第80号まで第5 県政に対する一般質問   ―――――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1  第118号議案 決算の認定について(昭和50年度電気事業会計工業用水道事業会計有料道路事業会計)  第119号議案 決算の認定について(昭和50年度新潟東港臨海用地造成事業会計)  第120号議案 決算の認定について(昭和50年度病院事業会計)  第121号議案 新潟県新潟東港臨海用地造成事業利益剰余金の処分について 日程第2  第152号議案 決算の認定について(昭和50年度新潟県一般会計・特別会計) 日程第3  第48号 佐渡汽船(株)中小内航海運業者に対する圧迫排除に関する請願  第49号 専修学校等の助成に関する請願  第50号 私立高校の県費助成大幅増額に関する請願  第51号 私立高校の県費助成大幅増額に関する請願  第52号 私立高校の県費助成大幅増額に関する請願  第53号 準大型店対策条例制定等に関する請願  第54号 新潟県地方産業育成資金の資金総枠拡大に関する請願  第55号 県立新潟盲学校校舎増築等に関する請願  第56号 「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」の改正等に関する請願  第57号 小売商業活動の調整にかかわる条例の制定に関する請願  第58号 私立高校の県費助成大幅増額に関する請願  第59号 私立高校の県費助成大幅増額に関する請願  第60号 私立高校の県費助成大幅増額に関する請願  第61号 私立高校の県費助成大幅増額に関する請願  第62号 長岡気象通報所の廃止反対と測候所昇格に関する請願  第63号 児童福祉法に基づく学童保育の制度化に関する請願  第64号 救急医療体制の整備に関する請願  第65号 清津川多目的ダムの建設促進に関する請願  第66号 私立幼稚園公費助成大幅増額に関する請願  第67号 私立保育園の公費助成の大幅増額に関する請願 日程第4  第75号 大型スーパー及び中型店の進出規制に関する陳情  第76号 県出先機関総合庁舎建設に関する陳情  第77号 県立新潟商業高等学校入学者男女定員制実施に関する陳情  第78号 「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」の基準外急傾斜地の救済に関する陳情  第79号 佐渡汽船発着所の移転反対に関する陳情  第80号 佐渡汽船発着所の移転反対に関する陳情 日程第5 県政に対する一般質問(椿利策君、広井忠男君、曽我四郎次君、西川万作君)   ――――――――☆――――――――出席議員(64名)       関山 信之 君  椿  利策 君  中川 良一 君  米山 繁男 君       今井 敬弥 君  江口 秋治 君  大平  武 君  曽我四郎次 君       田辺 栄作 君  権平 正雄 君  今成雄志郎 君  石塚 光雄 君       勝又 一郎 君  竹内十次郎 君  田原幸次郎 君  中川 三七 君       広井 忠男 君  馬場潤一郎 君  細貝 幸也 君  横山喜八郎 君       小笠原正男 君  五十嵐淑郎 君  猪股悌二郎 君  神田 四郎 君       西川 万作 君  斎藤 一郎 君  小杉説次郎 君  斎藤 勝夫 君       轡田 勝弥 君  高山  巌 君  中川 秀平 君  嵐  嘉明 君       桜井  新 君  熊倉 勘一 君  目黒 武尚 君  布施 康正 君       小林  脩 君  小柳 新一 君  島田 直治 君  長浜 泰雄 君       武田 武夫 君  古川  渉 君  林 十一郎 君  木村 博保 君       近藤 元次 君  岩村卯一郎 君  西川 亀三 君  山岸 敏夫 君       高橋 十一 君  吉川 芳男 君  長谷川 信 君  小林 静夫 君       加賀田二四夫君  祢津 文雄 君  長谷川吉雄 君  川室 道隆 君       遠山 作助 君  外山勘兵衛 君  戸田 文司 君  福島  富 君       阿部 信夫 君  渡辺 善作 君  江口 金吾 君  高橋 虎夫 君   ―――――――――――――――――議員以外の出席者  知事          君  健男 君  副知事         関  昭一 君  出納長         矢野 達夫 君  総務部長        南雲 達衛 君  企画調整部長      笠原健一郎 君  民生部長        多田  博 君  衛生部長        近  寅彦 君  生活環境部長      上原 辰雄 君  商工労働部長      加藤  孝 君  農林部長        鶴巻 達雄 君  農地部長        伊東 久弥 君  土木部長        田中 敏仁 君  新潟東港開発局長    羽入  晋 君  病院局長        今井 俊雄 君  企業局長        市原 哲三 君  教育長         厚地  武 君  警察本部長       寺尾  繁 君  地方労働委員会事務局長 坂井 達男 君  監査委員事務局長    上野 寛治 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時7分開議 ○議長(長谷川吉雄君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆――――――――人事委員会意見報告 ○議長(長谷川吉雄君) 御報告いたします。 今期議会に提出された第133号議案及び第134号議案について、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を求めましたところ、諸君のお手元に配付のとおり意見の提出がありました。御了承願います。   〔報告書は付録に掲載〕   ――――――――☆―――――――― △日程第1 第118号議案から第121号議案まで ○議長(長谷川吉雄君) 日程第1、第118号議案から第121号議案までを一括して議題といたします。 企業会計決算審査特別委員長の報告を求めます。加賀田二四夫君。   〔加賀田二四夫君登壇〕(拍手) ◆加賀田二四夫君 本委員会に付託された企業会計決算関係4議案の審査経過並びに結果について報告申し上げます。 この4議案は、いずれも去る9月定例会において本委員会に付託され、閉会中継続審査となったもので、関係当局からの説明聴取後現地視察を行うなど、審査に慎重を期した次第でありますが、以下その過程において述べられた要望、意見の主なるものについて申し上げます。 まず、病院事業会計について 1、病院事業会計は、診療報酬の改定に伴う平年度化、健全化計画に基づく企業努力による利用患者の増加等により、本年度純損失は3億1,197万8,000円と、前年度10億705万6,000円に比し大幅な減少となっており、期間外利益を含めると、昭和41年度以来9年ぶりに累積赤字をわずかながら解消するに至ったことは、一応評価することができる。しかしながら、本年度末において、なお累積赤字は56億5,205万8,000円と多額であり、依然として経営の見通しは楽観を許さない状況にあるので、さらに経営の健全化に努め、あわせて不採算医療に対する適正評価、その他公的病院本来の使命に基づく欠損分の財政援助措置の拡充強化、特例債償還費に対する財政援助の引き上げ等、引き続き国等に強力に働きかけて改善を図り、県民医療の確保とサービスの向上になお一層の努力をされたいこと。 2、16県立病院中、唯一の単年度黒字経営となった小出病院については、病院職員間の融和と協調、地域医療機関との連携強化等、病院独自の企業努力に負うところも大であるので、今後の参考とされたいこと。 3、医師の確保と定着化を図るには、待遇面からの優遇措置も重要と考えられるので、現行制度を再検討し、医師優遇を県立病院における最も重要な施策の一つとして、特段の措置を講じられたいこと。 また、医師の県立病院への派遣については、地元大学にとどまらず、広く県外の大学等にも協力を求めて、医師の確保に努められたいこと。 関連して、医学生等修学資金貸与制度については、制度発足後の日も浅い事情等から、その実績は少ないが、若手の優秀な医師の確保には有効な手段と考えられるので、将来にわたり、十分期待できるような運用を図られたいこと。 4、病院の施設及び医療器械の整備促進については、病院事業の健全発展のためにもきわめて重要であるので、総合的な整備計画等を策定し、早期実現のため努力されたいこと。 また、医療備品等整備充実のため、各病院から例年要望される所要経費の予算化の実情は、最近の51年度の例で言えば、要求額20億円に対して4億4,000万円と、4分の1より以下と少ないので、財政当局等の理解と協力を得て、必要額が確保されるよう、さらに働きかけられたいこと。 関連して、医療器械、特に高額医療器械等については、県民医療に常に活用されるよう、利用状況の的確な把握に努めて、医師の転出等により遊休器械等が生じないよう、十分に留意されたいこと。 5、県立病院の救急告示病院の受け入れが進まぬ理由に、医師、看護婦等の充足難、受け入れベッドの不足等、短時日では解決されぬ困難な面も多いので、とりあえず予算措置が伴えば、直ちに着手可能な施設整備から改善を始めて、救急告示病院と同じ施設機能に高めつつ、救急医療に協力していくのが現実に沿った解決方法と考えられるので、検討の上、推進されたいとの意見。 関連して、脳外科医の配置は、現在1名にとどまっているが、多発傾向にある交通事故の頭部外傷患者等に適確に対処できるよう、専門医師の増員と、中核病院への配置を早急に実現されたいこと。 6、医薬品の共同購入については、年々実績を伸ばし、経費節減の効果を上げているので、さらに効率化を図られたいこと。 なお、共同購入になじまない必要な医薬品等については本購入方式にとらわれず積極的に購入し、患者治療のため使用されたいこと。 関連して、新薬等の採用に当たっては、薬害被害の防止のため事前調査等を十分に行い、慎重に対処されたいこと。 7、急増する医療と多様高度化した今日の医療に適確に対処していくには、地域医療機関全体の機能分担による連携、協力が必要であるので、県としても総合医療行政の中で施策を進める必要があるが、県立病院としても公的病院の立場から積極的に協力をされたいこと。 なお、最近、リハビリ施設を整備した県立妙高病院において、冬期間は地域周辺スキー場から運び込まれるスキー事故入院患者が急増し、このためリハビリ入院患者が、シーズン明けまで自宅待機を余儀なくされている事例も出ているので、早急に善処されたいこと。 その他、全国自治体病院協議会との連携強化、地域医師会等との友好協力関係の確立、精神科等慢性疾患用ベッドの減少と地域医療需要への配慮、外来診療時間と患者への配慮等について要望、意見がありました。 次に、電気事業会計として 1、公営企業が単に投資分を償却するだけで運営されることは無意味であり、その形はどうあれ、適正な利潤を得ることは当然認められるべきものと考えられるので、この実現に向けて、公営電気経営者会議にも呼びかけ、関係省庁への強力な働きかけを行われたいこと。 2、新潟県中小企業会館に対する土地の売却に関して、監査委員から審査意見が出されているが、財産の処分には慎重を期すとともに、今後財産の管理に当たっては、主体性をもって適正な管理に努められたいこと。 3、三面発電所は建設以来24年を経過しているため、ダム自体の安全性について関係住民が不安を抱いているので、常に安全性をチェックされたいこと。 4、昭和50年度から、東北電力株式会社との売電契約が2年の短期契約に改定されたが、このことは料金算定方式が原価主義のもとでは建設年次が古く、償却の進んだ発電所が多い本県にとって従来の10年契約に比べて経営上不利であり、料金の低下を来すことも懸念されるので、かかることのないよう十分配慮されたいこと。 次に、工業用水道事業会計として 1、本会計は、新潟臨海工業用水道の建設に伴い、長期にわたる赤字決算が見込まれており、企業局においても、これへの対応策を検討中とのことであるが、特に水を大量に使用する石油精製関連企業の進出時期の確認、建設費への国の低利な資金の導入なども考慮しながらその実現に努め、独立採算の確保を図られたいこと。 2、上越地方の水不足が予測されているが、企業局としても単に工業用水の供給にとどまらず、上水も含めた同地方の総合的な水資源確保の観点に立って、関川の浄化、地下水の塩水化対策など、関係部局とともに積極的に対応策を検討されたいこと。 次に、有料道路事業会計として 1、有料道路の利用客の増大を図るため、次の事項について鋭意検討されたいこと。 小中学生や家族ぐるみで利用できる遊園地、休憩所、宿舎あるいは駐車場などの施設を有料道路に関連させてつくること。実効ある宣伝を継続して行うこと。 2、奥只見有料道路維持管理費用を、電源開発株式会社に応分に負担させることについては、前回も要望したところであるが、「奥只見専用道路譲渡に関する協定書」の改定も含めて、今後とも積極的に同社と交渉されたいこと。 また、本道路の安全性を確保するため、大型車両の通行が隧道に与える影響について調査されたいこと。 3、弥彦山有料道路の道路敷の無償提供を定めた覚書の履行がおくれているが、関係町村が多額の登記料を負担できないことがその原因の一つと考えられるので、土地の提供を受ける県がこれを負担するなど、履行実現の条件づくりに努められたいこと。 また、地権者と町村との話し合いが終わらない段階で企業局がこの道路の建設に着手したことから、現在でも主に関係町村外の地権者から補償問題が企業局に持ち込まれていると聞くが、ほかへの影響も考慮し、解決に当たっては慎重を期されたいとの意見がありました。 次に、新潟東港臨海用地造成事業会計として 1、東港における企業配置については、都市計画との関連から、移転したくとも適地がないため、移転できずにいる企業もあるので、これらの受け皿として、地場産業を優先的に考慮されたいこと。 2、経済の基調が大きく変わった現在、東港開発計画には企業の進出計画を適確に見きわめ、これに見合う開発を行っていく弾力性が必要と考えられるので、この際計画の勇気ある再検討を行われたいとの意見がありました。 次に、議案採決に先立ち、各党会派党議結果の報告を求めたところ、自由民主党、日本社会党、県政会、公明党及び無所属議員クラブからは全議案いずれも認定または可決というものでありました。 次いで採決を行い、全議案とも認定または可決すべきものと決した次第であります。 以上をもって報告といたします。(拍手)   ――――――――――――――――― ○議長(長谷川吉雄君) これより採決いたします。 まず、第118号議案を採決いたします。 議案のうち、まず昭和50年度新潟県工業用水道事業会計決算を採決いたします。 本件に対する委員長の報告は認定であります。本件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕 ○議長(長谷川吉雄君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり認定いたしました。 次に、同じく第118号議案のうち、昭和50年度新潟県電気事業会計決算及び昭和50年度新潟県有料道路事業会計決算を一括して採決いたします。 両件に対する委員長の報告はいずれも認定であります。両件を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(長谷川吉雄君) 御異議なしと認めます。よって、両件は委員長報告のとおり認定いたしました。 次に、第119号議案を採決いたします。 本案の委員長の報告は認定であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕 ○議長(長谷川吉雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり認定いたしました。 次に、第120号議案を採決いたします。 本案の委員長の報告は認定であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(長谷川吉雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり認定いたしました。 次に、第121号議案を採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(長谷川吉雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。   ――――――――☆―――――――― △日程第2 第152号議案 ○議長(長谷川吉雄君) 日程第2、第152号議案を議題といたします。 ◆轡田勝弥君 ただいま議題となりました第152号議案は、審査のため普通会計決算審査特別委員会を設置し、これに付託することを望みます。 なお、委員の選任は議長の指名により行われんことを望みます。 ○議長(長谷川吉雄君) 轡田君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(長谷川吉雄君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。 お諮りいたします。 普通会計決算審査特別委員会の委員の定数は31名とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(長谷川吉雄君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、委員の指名は、お手元に配付いたしました委員名簿のとおり指名いたします。   ―――――――――――――――――
    ○議長(長谷川吉雄君) これより普通会計決算審査特別委員会の委員長及び副委員長互選のため、暫時休憩いたします。  午前10時26分 休憩   ――――――――☆――――――――  午前10時27分 開議 ○議長(長谷川吉雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ――――――――☆――――――――普通会計決算審査特別委員会正副委員長の互選結果報告 ○議長(長谷川吉雄君) 普通会計決算審査特別委員会の委員長に  祢 津 文 雄 君同副委員長に  江 口 秋 治 君がそれぞれ互選されました。御了承願います。   ――――――――☆―――――――― △日程第3 請願第48号から第67号まで △日程第4 陳情第75号から第80号まで ○議長(長谷川吉雄君) 日程第3、請願第48号から第67号まで、及び日程第4、陳情第75号から第80号までを一括して議題といたします。 お諮りいたします。 請願第48号から第67号まで、及び陳情第75号から第80号までは、審査のため諸君のお手元に配付の請願、陳情文書表のとおり、各部門の常任委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(長谷川吉雄君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔請願、陳情文書表は別冊に掲載〕   ――――――――☆―――――――― △日程第5 県政に対する一般質問 ○議長(長谷川吉雄君) 日程第5、県政に対する一般質問を行います。通告順により発言を許します。 まず、椿利策君の発言を許します。   〔椿利策君登壇〕(拍手) ◆椿利策君 社会党の椿であります。昨日の各議員の質問と重複するものもありますが、同じ質問でも、もう少し具体的な答弁をお願いしたいものなどもありますので、多少観点を変えたり、あるいはもう少し具体的な回答をお願いしたい、こういう立場で質問をいたします。 質問の第1は、今回の総選挙をどのように受けとめておられるかということについてであります。 「いま野党に日本を任せることができますか」このポスターの文句は、いろんな意味合いで今度の総選挙を象徴する傑作でありました。野党に日本を任せられるか、こう問われた国民は、自民党の公認候補249名の当選という回答をしたわけであります。社会党も余り大きな顔はできませんが、(笑声)ある新聞の社説では、単純過半数の256議席さえ確保できなかったこの結果を、「驚異的にして記録的な大敗」であり、「金権とスキャンダルに汚染され、安易で無機能な政治姿勢に慣れ、反省を忘れた与党に政権党の資格なしとの手厳しい審判が下されたに等しい」こう断じておるわけであります。 知事、あなたが自民党に所属する知事だからというだけではありませんが、このような激動の時代には、県民の多くが、知事はどんな見通しを持ってこれから対処されるのであろうか、大きな関心を持って見守っておると思うわけであります。したがって、あなたはこれを、悪条件が重なったための自民党の一時的な敗北と見るか、それとも30年余の保守政治、自民党による単独政権の終わりを告げる新しい時代の始まり、このように見るか、まずそのことをお聞きしたいと思うわけであります。 さらにまた、これからの政局の動向についていかなる判断をお持ちか、お伺いをしたいのであります。自民党と中道勢力と言われるものとの連立になるのか、あるいは自民党と新自由クラブとで政権を担当することになるのか。いずれにいたしましても、従来のような自民党による独裁的な政治は当面続けられないと思うわけでありますが、この場合、地方自治体に対する施策に大きな変化があるのかどうか。昨日の御答弁では、政局によって直ちに県政が変わることはない、このように言われました。また、いろいろと学ばせてもらったが、国民の意思を反映したもので、最後まで議会制民主主義を守ると見られた政党は伸びた、このようにお答えになっておるわけであります。聞き違えたのかなと思ったんでありますが、知事の論旨でまいりますと、自民党の敗北は、議会制民主主義を否定するロッキード問題や分裂的な内紛、私どもの主張と同じ、このように理解していいかどうか、改めてお尋ねしたいわけであります。 また私は、従来の主張である自治権確立のための行財政制度は大きな変化を期待したいわけでありますけれども、知事は国民の意思が反映した選挙と言いながら、自治権確立への多少の前進さえ期待をしないのでありましょうか、お聞かせをいただきたいのであります。 質問の第2は、来年度予算の編成に際してどのような構想をお持ちかについてお尋ねをいたします。 御承知のように、勤労者の賃金は物価の上昇に追いつかず、実質賃金は低下の一途をたどっています。景気の回復もままならず、公共料金の引き上げ、休みなく続く物価の上昇、雇用不安、減税は緊急な政策課題でありますけれども、いまだに確定を見ない。県民の生活は緊縮の度合いを一層強めています。このような経済社会情勢でありますだけに、何か明るい希望をつなぐような県政の重点施策が必要と思うのであります。しかし、総選挙を終えて日の浅い今日の状況では、政府の方針も不確定のものが多いでありましょうし、明確な答弁は困難かと思いますけれども、それにしても、昨日の御答弁をもう少し具体的にお聞かせいただきたいと思うわけであります。 長浜議員の質問に対しまして、新年度予算の性格は通年的性格であり、積極的なものにしたい、景気回復の効果を考えれば選択的導入もあり得る、また地方債の増発は一時的にもせよ民間融資を圧迫するので、慎重でなければならぬかのようなお答えであります。選択的導入とは何か。地方債を限度いっぱいにして、通年的積極的予算とするのか、あるいは何よりも健全財政に徹するのか、改めて明確にお答えをいただきたいのであります。 また、総務部長でも結構でありますが、本年度の財政収支の見通しにつきまして、前年から持ち越した20億の赤字をどう少なくするかという段階である、このような御答弁でありましたけれども、9月議会では私の質問に対して、おおよそ今年度の財政規模は3,900億になるであろうと答弁されているわけでありますから、あと百数十億、これは退職手当等の見込みがあるんでありましょうけれども、それらを含めてもう少し詳細にお答えをいただきたいと思うのであります。 また、過日の新聞によりますと、全国知事会は外形標準課税について、52年度実施を目指して近々中に決定するというような報道がございました。この実現の見通しはいかがでありましょうか。所得と外形の併用で実施となれば、好況不況に左右されない比較的安定した税収源、こういうことは可能かもしれませんが、増収が期待できないものであっては、私どもの年来の主張とは全然異なるものであります。その意味は半減どころか、全く失われてしまうと思うのでありますが、それでも知事はメリットがあるとお考えか。実施されるとすれば、本県の税収にどのような影響を与えるのか、このことについてもあわせてお尋ねをいたします。 また、財政事情が困難であればあるほど、重点配分で特色を出すことが必要かと存じますが、知事の任期中にこれだけはやりたいと念願しておることで新年度に取り上げるものがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。 知事は公共事業最優先、これが基本的なお考えのようであります。生活関連の公共事業とも主張されてまいりました。県民生活優先、福祉重点の県政を期待したいのでありますが、保育所の新設を例に取り出して、多くの県民はそのことを期待していいかどうか、具体的にお尋ねをいたします。 新潟市の調査によりますと、この県都新潟で保育を必要とする児童、これは公立、私立を含めて、保育園に入れないで困っているという数でありますが、おおよそ2,300名と推定されます。人口の増加も原因でありましょうけれども、これまで放置してきた、あるいはその対策に熱心でなかった従来の市政に憤りさえ感ずるのでありますけれども、この児童を全員保育園に入園させるには、120名の定員の保育園を直ちに19カ所新築をしなければならないという計算になるのであります。ところが、実際には現在すでに老朽化が激しくて、改築を必要とするものが11カ所あるというのであります。30カ所の保育園を新築、改築するということは、2年や3年でできる相談ではありませんから、10年計画を立ててみますと、今後の人口増加と、10年間で新たに老朽施設となってしまうものの改築、あるいは私立の保育園の新設等もございましょうから、見込める要因のすべてを含めて推計をいたしましても、今後毎年7つの保育園を新築または改築しなければならない、こういう事情になるのであります。 新潟市長はいま開かれております12月市議会に諮りまして、いま急に国庫補助をと言っても当てにならない、どうにもこうにもならないから、市単独で1カ所だけはつくろう、来年のせめて5月ころにでも開園したいと提案をし、相談がされているようであります。 このような状態を私どもは放置するわけにはいかぬと思うのであります。不況が長引き、物価だけは遠慮なく上がる、安い賃金でも、パートタイマーでも、とにかく働いて家計を助けなければやっていけない、そういう生活実態、だから若い母親にとって保育園に入れるかどうかということは、生活そのものにかかっている、こんな時代であります。わが党も新潟市に保育所問題の委員会を設置して研究し、行動を続けておるわけであります。 これらの問題解決には、県は県の立場で従来以上に大きな力を貸さねばならないと思いますが、いかがでしょうか。保育所問題に関する県の実績はどうかと思って、担当者に調べてもらいました。50年度では市町村から要求の上がったもの、これは新設でありますが31、実際につくられたものは23、改築は5つ、そのうち実現したものは2つ、増築申請12のうち実現をしたものは8つ、僻地が1つ、合計49カ所の相談を受けましたけれども、実際に実現をしたのは34カ所ということであります。県単の支出経費は5,577万3,000円ということであります。もちろん、市町村にもいろいろな事情がございます。県だけを責めるつもりはありません。51年度はどうか、こうなりますと、市町村の財政も大変厳しくなりましたから、申請されたのは35件、実現をしたのが32件、打率は上がったけれども、件数はうんと少なくなって、県単の費用はわずかに3,878万2,000円というわけであります。 知事、このような状況を踏まえてお伺いをしたいのでありますが、国の予算措置が本年以上に期待できないというふうなことであればなおさらのこと、せめて県単の予算を51年度の5倍くらいにしませんか。5倍というと大変に聞こえますけれども、金額にしてわずか2億円であります。勇断をふるって若い母親の期待、不況の中でせめてと、こう願っておる大勢の皆さんにこたえるような、そういうお約束はいただけませんか、お伺いをしたいのであります。 次に、青空対話集会のことについてお尋ねをいたします。 知事はすでに2年間にわたり、特に僻地を選んで、直接県民の要望を聞く青空集会を続けられています。大変結構なことだと思います。ことしも6市町村で12回も集会をやられたと聞いておりますが、ここで出された要望などはどのように解決をされておるのでありましょうか。新年度予算に取り上げられようとするものは何でありましょうか、お伺いしたいのであります。僻地の悩みを知事に聞いてもらって、あるいは知事さんの顔をしげしげと見て、胸がすうっとしたという人もあるいはあるかもしれません。しかし、予算的な措置のないものでは、解決ができないんじゃありませんでしょうか。即決で済ませるものがあるとすれば、それはわざわざ知事が出かけるまでもないことと考えてもよろしいんではございませんか。青空集会の成果と予算上の配慮についてお聞かせ願いたいのであります。 さらに、機構改革のことにも触れます。私は、何も早く機構改革をおやりなさいなどと言うつもりは毛頭ありません。ただ、非常事態宣言の中で取り上げられ、財政の難局打開の決め手のように宣伝されたものでありますだけに、その後どうなっているのか、お聞きをしたいわけであります。 昨日の御答弁では、当面支所、分所の統廃合を事務的に検討しており、県民の了承を得られるものから逐次実行していくということであります。新年度から支所、分所の統廃合をやるのでありますか。そのために必要な措置は2月県議会に提案をされるのでありましょうか。明確にお答えをいただきたいのであります。 質問の第3は、民間放送テレビ局の開設と知事の役割りについてお尋ねをいたしたいのであります。 新潟放送テレビ、新潟総合テレビに次ぐ第3の局という意味では、仮に第3局と呼ばせていただきます。テレビの免許は知事の権限外のことでありますから、大変恐縮にも思います。しかし、公共性の高い電波にかかわることであり、同時にまた、新潟県ほど収益性の高い市場はもう残されておらないのではないか、こう言われるほど、資本家にとっては大変魅力のある県だそうであります。従来もそうだったと聞きますが、今回もまた相当激しい電波の争奪戦が展開されておるように聞きます。 そこで承りたいのであります。ある人が、民間放送は郵政大臣が数多くの申請者の中から、最も公共の福祉に寄与するものを選定して免許を与えることになっているのに、実際にはどんな番組が計画をされておるのか、知る由もない、県民の電波でありながら、県民の知らない密室で、一部の財界人と政治家によって、大変乱暴な言い方ですが、電波が山分けされていると、このように酷評する人さえあるわけであります。私は、この表現が当たっているかどうかは存じませんけれども、このような言い方をされてはいけないと思うのであります。 そこで1つは、本県に電波の割り当てが決まって、幾つかのグループで激しい競争が行われており、その調停役というのかまとめ役というのかを知事がなされて、8月ごろから2度ばかり会合も開かれておる、このように承っておるのでありますが、それは事実でありましょうかどうか、お尋ねをいたします。 2つには、もし事実だとすれば、それはどんないきさつでこんなめんどうな仕事をお受けになったのか。みずから買って出たのか、押しつけられたのかわかりませんが、その辺のいきさつについても承れれば幸いであります。 3つ目には、この第3局に県が出資をしたり、あるいは農業団体なども出資をして、参加するというふうなことになるのでありましょうかどうか。あるいは、BSNやNSTなどの株主がこの第3局にも顔を出すのでありましょうか。もしも県内の民間放送を一部の財界で独占されるようなことになっては、私は好ましくないと考えるわけであります。したがいまして、どのような組織で設立をして、いつごろ開局をされる見通しであるか、これらの点についてお聞かせいただきたいのであります。 「皆さんがトラクターを買うのに一国の総理があれこれ言いますか」こんなふうに言う人がいます。民間企業の問題で知事が個人的に何らかのお世話をしたとしても、この議場でお尋ねするのはどうかと思わないでもありませんけれども、従来とかくのうわさがあるものだけに、これははっきりさせることがいい、このように考えたほか、全く他意はありません。 私の手元に幾つかの資料があります。大変古いものですが、「新潟県新設テレビ局一本化覚書送付の件」というのがあります。「東京砂防会館内田中角栄事務所において発起人代表が協議決定した事項に従い、立会調停人田中角栄氏が作成した覚書を送るから、持ち回り調印するのでよろしく」こういうものであります。この発起人代表にはテレビ日本海、越佐テレビ、越後テレビ放送等々のほかに、東京などの新聞関係5社が名を連ねているわけでありますが、取締役はどこから何人を出す、監査役はどことどことどこの会社から出すという役員の割り当てから株主出資割り当てまで記載をされています。また、別の資料では、これは少しおだやかではないのでありますけれども、1つは「甲の名儀になっておる9万6,000株の資金4,800万円は乙が支弁する」、2つ、「税務署などには甲の所有でないことを証明する書類を作成して、必要の都度乙が甲にやる」、あるいはまた、「甲と乙はこのことを他に漏洩しないことを約束する」などというものもあります。そうかと思うと、新潟選出某代議士あての手紙で、「新潟テレビ問題で一暴れするとお話がありましたが、8つのグループが競願をしております。火山爆発の寸前という様相でございます。このためにだれだれが調停役となって、静かに工作を練っている」云々から、「先生が暴れるのは結構でございますが、調停者と絶えず連絡をとってくれ」とか、「中央政界では〇〇先生と郵政大臣の間で話が進み、新潟に免許をおろすことは内定している」とか、「郵政省では〇〇電波監理局長が中心であるから、暴れる前に何々してほしい」とか、当時の事情をうかがい知るに足るだけのものがあります。 このようなことは繰り返されてはいけない、こんなふうに考えて、お尋ねをするわけであります。御答弁願えるもの、あるいは差し支えのあるもの、いろいろありましょう。しかし、県民に不要な誤解を与えたり、不信があれば、これをぬぐい去るという立場で御答弁をいただきたいと思うのであります。 次に、民間放送の労使関係あるいは労働条件の問題について、少しだけ申し上げてみたいと思います。公共性の高いテレビ放送とはいっても、企業でありますから、その内容は余りとやかく言いたくないのでありますけれども、近代的な設備、機械の中で、余りにも前近代的な労使関係、労働条件というのは、言論、報道の自由を守るというような立場、あるいは公正な報道や民間放送の健全な発展という立場からは、これは放置できないのではないか、こんなふうに考えて指摘をするわけであります。 ある民間放送の会社の場合に男子87名、女子21名の、従業員108名がおるわけでありますが、50年度の営業収益はおおよそ32億円、粗利益で10億6,000万円だそうであります。この会社には臨時傭員、社内ではアルバイトと呼ばれる労働者が34名もおります。この人たちは2年契約で、任期満了とともに自動的に職場を去らねばならないのであります。しかも臨時的、突発的な業務のために、学生がアルバイトに行くというようなしろものではありません。まさしく若い女子労働者を安く使うために、一般社員と全く同等な職務に従事をしながら、そういう立場に置いておる、こういうものであります。社員でも結婚すれば退職せざるを得ない職場で、しかも、営利追求だけで重苦しい職場の雰囲気、これを切々と訴える人もおるわけであります。おおよそ私どもには理解に苦しむところであります。 これを裏づけるように、重要な役割りを果たした人の手紙もあるわけであります。「いま民間放送局の労働組合は若年でいながら他業種に例を見ない高給を得、しかも相当なインテリジェンスの持ち主によって、その本部、支部の幹部が占められ、総評傘下に属しておりますが、総評本部でさえ抑えのきかない最左翼分子の集団でございます。この民放労連が、当然新設テレビ局の従業員に積極的に呼び込みを行い、会社設立時に侵入してくることが考えられます。したがって、この対策の中心となる諸規定等の整備は、創立当初から万全を」云々と、こういうものであります。 いろいろと申し上げました。しかし、私にとっては言いたいことの3分の1も言っておりません。正確な資料を持たないからでなくて、公共放送に対する信頼みたいなものを傷つけるようなことがあっては、私の本意ではないからであります。もし民放がこのまま営利本位に徹して、県民の電波を労働者とその犠牲において、利潤追求だけに終始するとすれば、いずれかの機会に党派を超えた不当性の追及というようなものが起きてくるのではないか、このように考えて、商工労働部長などからも適切な指導、助言等が必要なのではないかと、こう指摘をすることにとどめます。 第4の問題は、庁舎管理規則の問題であります。 庁舎管理規則の制定は、35年の安保闘争の直後、自治体労働者の組合活動の高まりとともに全国的な流行となりました。自治省もまた、強力にこれを指導してきたものであります。本県では当時塚田知事、君総務部長というタカ派コンビでありましたから、大変な騒動でありました。県民の請願、陳情権を規制する悪法だという立場で騒ぎが大きかったわけでありますが、そうであるだけに、塚田知事も一歩二歩譲って妥協したものであります。 最近になると、当時の塚田知事が君総務部長の頭越しに妥協したために、君知事は規則改正に大変な執念を燃やしておる、こんな陰口も聞こえてくるのであります。君知事がそんな了見いやそんな器量の人とは思いたくないのでありますが、問題の本質は、現行規則第6条4項で「多数集合して示威行為をし、又は居すわるなど正常な公務の執行の妨げとなるような行為をすること」を明らかに禁止行為と定めて、何ぴともこれをやっちゃいけないという明確な規定があるのであります。知事は、明確さを欠くので、その点を改正するんだということであります。正常な公務の執行の妨げとなるかならないかの判断は、そのときどきの状況で明確であります。たとえば、総務部長室の前に10人や20人の人が座り込んでも、静かに整然と座り込んでいる限り、正常な公務の執行の妨げとならないことは明白であります。ところが今回の改悪案は、正常な公務の執行の妨げになるかならないかという基準は全くなくして、2人であろうが3人であろうが、座り込み、立ちふさがり、練り歩きの一切を禁止するというのであります。 私は、知事が「財産を取得し、管理し、及び処分する」地方自治法第149条6号、この権限に基づいて庁舎管理権を持っていることを否定するものではありません。しかし、知事は重要な側面を無視しておると思うのであります。私はこれを黙っておるわけにはまいりません。それは庁舎管理権の名において、住民の権利や職員団体の活動、行動を、合理的な理由もなく制限、規制をする、これは管理権の乱用だということについてであります。 正常な公務の執行の妨げとなる場合は、合理的な理由を必要とするのであります。正常な公務の執行の妨げになる、これが明らかである場合は、まさに合理的な理由と言うことができましょう。だから、この文言はあなたの好みと異なったにしても、挿入された経緯があるのではありませんか。職員団体について言えば、日本の労働運動が企業別組合の形態をとる限り、この県庁は職員にとって労働の場であると同時に、それは組合活動の場であることは、ILO関係の幾つかの条例制定の過程で論議がし尽くされ、そして労使双方の共通の認識であるはずであります。したがって、知事の庁舎管理権の行使は、勤労者の労働基本権の比較考量抜きにして、一方的に行使することは許されないのであります。だから、庁舎管理権をめぐる争いでは、全港運高知支部にかかわる47年の高知地方裁判所の無罪判決とか、48年の松江地方裁判所浜田支部の判決、これは国労でありますが、それらによって明らかなのであります。 また、知事はきのうの御答弁で、適法な交渉について規制するつもりはないと述べられました。適法な交渉さえ規制されたら、この世はやみと言わなければなりません。私はそのことよりも、この規則の改悪が職員団体のために職員の行為の制限の特例に関する条例、いわゆる「ながら条例」、これを骨抜きにするのではないかと心配をいたします。規則が条例を骨抜きにするようなことがあってはいけません。この条例の焦点は、「適法な交渉等を行なう場合の」等の解釈をめぐって、労使の間でも県議会でも、長い交渉と論議が展開されたものであります。従来の労使関係や労使慣行には基本的な変更がない、従来の労使慣行は尊重して、円満な労使関係をつくりたい、これらの言葉は、昭和41年から43年ころまで、ILO87号条約の批准に関連をした一連の条例制定に当たって当局から出た言葉であり、確認をされてきたことであります。だから座り込みも続いてきたのでありまして、なぜここで格別の法改正もないのに規則改正が必要であるか。座り込みが多発したのは、確認書問題や主任制の問題、教育長が15日間も行方不明になるような異常な事態、財政難で職員の賃金を大幅に切り下げて8カ月もの紛争が続くという、こういう背景から生まれたものであって、その責任は労使双方にあるのではありませんか。 細かい条文の質疑は委員会で続けますが、知事、あなたはこんな気持ちになりませんか。県評やその他の団体とも十分話し合われるそうであり、改正案に固執をしないでじっくりと意見を聞いてみたらどうでありましょうか。議会は正常化したが、不正常化時代の混乱時の落とし子がそれだけは鬼子で育つというのでは、これは片手落ちではありませんでしょうか。選挙の結果は、国政は対決の時代から協調の時代に移るそうであります。知事も組合と十分話し合って、双方で現行規則を守る方策は何か、歩み寄りはできないか、この機会に1年くらいの長い時間をかけて、たとえ試行錯誤であっても努力を続けてみる、それでもうまくいかないというときには最終的な交渉、こういうものが私は真の勇気ある決断と思うのでありますが、いかがでございましょうか。 時間が来ました。最後に一言だけお願いをしたいと思います。通告も追加をした部分でありますが、佐渡汽船の移転問題についてであります。 今度の議会にも陳情が出されておるところでありますが、この佐渡汽船が移転をする場合に、旅館や飲食店やあるいは関連の食糧関係を扱う零細な業者は死活問題だ、こう言っています。どこにでもある、特別珍しい問題ではありませんが、そうであるだけに、反対派の人たちと県が十分話し合いをするということが、問題解決の根幹だと思うわけであります。そういう意味で知事はこの問題にどのように対処されるのか、計画確定前に十分な議論をし合って、その人たちの意見も聞きながら、何とか円満な解決を図る、このようにお考えになられるかどうかということについて質問をし、私の質問のすべてを終わります。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 椿議員にお答えいたします。 総選挙の結果と知事の考え方ということでありますが、戦後今日まで、わが国はほぼ一貫していわゆる保守政治による政治が続いてまいったのであります。非常に長い期間にわたることでありますから、時には若干のそごを生じたこともありますが、わが国の今日の繁栄を見れば、大綱においては正しかったものと考えております。要は一党支配かどうかということよりも、自民党の今回の選挙結果も含めまして、反省すべきところは謙虚に反省し、よい面をさらに伸ばしていくことが大切であろうかと考えております。保守か革新かという、白か黒かという考え方は、若干古いのではないかというふうにも考えられます。現在、自民党は数といたしましても260名、さらに分裂をいたしました新自由クラブ19名を合計いたしますと279名で、いわゆる皆さんがおっしゃっておる保守政治家は圧倒的多数を占めておるのであります。また今回の選挙では、中道を行く民社、公明が圧倒的に伸びた、共産、社会含めまして、減退をしたというのが事実であります。(笑声、発言する者あり) しかしながら、地方自治体は地域住民の毎日の生活に密着した行政施策の実施に当たっているものでありますから、政局の動向によって直ちに変わっていくということはないと考えております。したがいまして、私はこれまでどおり県民の方々の御意見や御要望をよくお聞きいたしまして、県政の発展と福祉の向上のために全力を尽くしてまいる所存であります。 また、財源としての法人事業税の外形課税についてお話がありましたが、都道府県の税収の安定的確保を目的といたしまして、かねてから全国知事会としては、都道府県の法人事業税の税収は現行制度による場合、かなり不安定な面がありますので、それぞれ比較検討いたしておるのであります。 本県におきましては、全国知事会と同一方式で試算いたしましたところ、税負担のふえる業種と減る業種がありますが、全体としては若干増加の結果が出ております。 なお、全国知事会の試案につきましては、実施上若干の問題もありますが、本県といたしましては、全都道府県と同一行動をとってまいりたいと考えております。 次に、52年度の施策の問題のお尋ねがありましたが現段階では国の動向がはっきりしないために、正確にお答えすることはできません。ただ、今年度下半期の景気回復のテンポが緩慢化しておることを考えますと、来年度も楽観的な経済見通しは立たないものと考えられます。また、財政面でも税収の大幅な伸びが期待できません。また、本年は起債充当率が95%でありましたが、来年は60%になるということから、今年度以上に厳しい状況が予想されております。詳細につきましては、総務部長から答弁していただきます。 また、任期中にどのようなことをやるかというふうなお話でありますが、考え方によりましては、たくさんやりたいことはあるのでありまして、無限大にあるとも言えるわけでありますが、私の任期はちょうど日本の経済の一大転換期に始まりまして、地方財政のかつてない財政危機に直面いたしたところでありまして、私はこの難局を克服いたしまして、新しい時代に対応する県政の基盤整備を行うことを第一の任務と考えまして、最大限の努力をいたしてまいったつもりであります。残された任期でも、このような観点から諸施策を講じてまいる所存であります。したがいまして、毎年度限られた財政枠の中で最大限の仕事を行っていくという意味で、やはりやり残しはないとも言えますし、まだたくさんあるとも言えるわけであります。 なお、来年度の具体的事項につきましては、現在編成作業に着手したばかりでありますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。 特に、社会福祉問題についてお話がありましたが、福祉施設の問題については年々整備を図っておりますが、特に保育所につきましては御指摘のとおり、市町村から非常に要望が強いのであります。現在、認可保育所と僻地保育所を合わせますと、約1,000カ所近くになっておりまして、全国でも有数の保育県となっております。特に本県は農業県でもあり、最近はまた婦人の就労が増加をいたしまして、保育所の需要については地域住民の要望も一段と強くなってまいっております。したがいまして、県といたしましてもこれに対処するため、人口急増地域や保育率の低い地域については、幼稚園の設置状況とあわせまして、市町村の実情を考慮しながら、今後とも国庫補助による整備と同時に、県単による整備をあわせて行い、適正な配置に努めてまいりたいと考えております。 新潟市の例を挙げられていろいろお話がありましたが、私といたしましては、全県的な立場で対処してまいりたいと考えております。保育所だけ予算を5倍にするということは、御意見としてお聞きいたしておきます。 次に、広聴活動として50年度から実施しております僻地訪問は、直接現地を見、また多くの住民と直接対話することによって、非常に得ることが多かったのであります。この僻地訪問は関係部課長が同行いたしまして、またその結果は庁議事項としておりますが、50年、51年の両年度とも、道路、河川等の土木関係の要望が最もたくさんありまして、全体の50%近くを占めております。次いで出かせぎ、僻地バス等の過疎対策、農業基盤の整備等が望まれておるのであります。これらの要望のうち、措置すべきものについては予算の許す限り、当該年度または次年度以降、緊急の度合いに応じまして予算化を進めているところでありますが、新年度におきましても、さらに孤立集落を含みます過疎、辺地道路の整備促進、生活基盤の改善等を中心に、僻地振興のための予算化を図ってまいる所存であります。 機構改革の問題でありますが、現在予算編成作業に着手したばかりでありまして、具体的にお示しできない段階でありますが、当面出先機関の支所、分所の統廃合とか、あるいは本庁の機構の簡素化等につきまして、事務的に検討を命じておりまして、県民の了承を得られるものから逐次実施してまいりたいと考えております。2月県会に何を提案するかについては、いま決定いたしておりません。 次に、民間放送の問題でありますが、48年10月、郵政省におきまして、新潟地区に第3番目の民間テレビ電波が割り当てられましてから、現在まですでに171の新局設立の申請が郵政省に出されております。電波は1つで171の申請があるわけでありますので、これを調整し一本化することが必要であります。従来、他県でもこの調整を知事が行っている例が多いのも事実であります。県にはテレビ局開設についての何らの権限もございませんが、御指摘のとおり、県民の生活に密接に関連のあることでもありますので、できるだけ早期に円満な形で調整されまして、県民の要望が実現されることが望ましいと考えております。現在のところ、申請者のうち代表的な方々の意見をいろいろ聞いておる段階でありまして、必ずしも簡単にまいるというわけにはまいりませんが、私といたしましても、御要望に沿ってできるだけ早く開局の運びとなるよう努力をしたいと考えております。 一部の財界人と政治家により、密室的に云々というようなお話がありましたが、そのような不穏当とも思えるようなことは私はないと考えております。 なお、今後の見通しといたしましては、まだいつどういうところまでというところには申し上げかねます。 また、御指摘になりました、県としては出資はいまのところは全然考えておりません。 私といたしましては、県民のためのテレビ局開設をモットーといたしまして、調整さるべきものと考えておりまして、御心配のようなことのないように十分配慮が必要であろうかと考えております。 また、報道機関が公正な報道をなし得るような内部体制を確保することは、まさに報道機関の内部の自主的な運営においてなされるべきものでありまして、外部から内部体制について指導したり介入したりする性格のものではございません。ただし、一般論として企業におきます健全な労使関係のあり方については、労働教育等の機会を通じて指導してまいりたいと考えておるわけであります。 次に、庁舎管理規則の問題でありますが、規則改正の要望決議案が議決されました経緯については、私なりに十分承知をいたしております。しかし、正式に議決されたものであります以上、これを尊重し、誠意を持って対処することが、執行部としての当然の責務であると考えております。規則改正に当たりましては、議会の議決あるいは庁舎管理者としての責務、さらには座り込み等の実態を総合的に判断して対処してまいるつもりであります。 県政に対する不満や申し入れがありますならば、私はいつでも対話をする用意があります。しかしながら、頻繁に行われております集団的な座り込みや無届け集会等、ルールを逸脱した示威行為を庁内で許すことは、一般県民にも非常な迷惑を及ぼすことにもなりますので、最小限の規制はやむを得ないものと考えております。改正するに当たりましては、むしろ十数年の試行錯誤の結果、あるいはまた議会や大衆団体の意見も大いに聞きまして、今後とも十分県民の御理解を得るように努力をいたしたいと考えております。 次に、佐渡汽船発着所の移転の問題でありますが、港湾審議会の慎重な審議を経まして、新潟西港全体の再開発計画の一環として、昭和47年に計画決定されているものでありまして、すでに国の港湾審議会でも決定され、予算化されておるものであります。その後一部の委員から、すでに決定済みのこの計画に対して再検討を求める意見が出されましたが、実はその委員も、審議会で決定した計画にかわる有効な対案はお持ちになっていなかったようであります。このような経緯から新潟西港再開発事業がいたずらに遅延いたしておりますことは、まことに遺憾にたえないと存じております。しかし、県といたしましては、関係住民の方々の御要望は十分お聞きをいたしますし、また新潟市、商工会議所等の意見もお聞きするなどいたしまして、善処してまいりたいと考えております。 以上で答弁を終わります。   〔総務部長南雲達衛君登壇〕 ◎総務部長(南雲達衛君) 51年度の今後の収支の見通しについて具体的に述べろという御質問でございますので、今後の見通しについて少し具体的に申し上げたいと思います。 51年度の収支の見込みにつきましては、今後の補正の要因について具体的に申し上げられる項目といたしましては、大体総額においては130億円程度になるんではなかろうかというふうに見込んでいます。 その内容といたしましては、まず人件費でございますが、退職手当と教員給与改善費、こういったことで大体97億ぐらい必要であろう。それから、災害復旧費としてあるいは直轄事業負担金なんかも若干ございますが、それらで4億円くらい必要になるんではないか。それから、その他の行政費といたしまして、たとえば過疎バスの補助金というものがもう5億円程度必要になってくる、それから、企業会計の繰出金がやはり5億円ぐらい必要であろう、その他で大体計12億円ぐらい必要であろうということが予想されます。それからさらに、この前の9月議会でも申し上げましたが、いわゆる年度間の調整財源として、予備費的な意味で保留しておくようにという全国ベースが3,000億ございましたが、本県の場合では34億保留してあるということを御説明申し上げましたが、そのうちでこのたびベアの、いわゆる5%を上回った分に充当するために16億円を使っております。その残りの18億円がございますので、この18億円も加えまして、大体歳出の総額が131億円という計算が一応出るわけでございますので、歳出規模としては今後130億円程度になろうということでございます。 これに必要な一般財源でございますが、その一般財源の総額を大体112億円程度と見込んでおります。その総額の内訳といたしましては、県税で大体20億円程度今後歳入補正するということ。それから、交付税で65億円程度補正計上しなければならぬだろう。その他、地方債で2億円。その他の雑件収入で4億円ということで、計91億円くらいの歳入の大体見通しがつけられるということでございます。 したがいまして、歳出で131億円、それから歳入で91億円、一般財源のあれでしますと、21億円の財源不足が見込まれるわけでございます。この21億円というのは、きのう知事が申し上げましたように、いわゆる昨年度の赤字として本年度に持ち込んだ分に相当するわけでございますので、この21億円の財源不足を今後年度末までに、いわゆる特別交付税の増額確保とか、あるいは良質の起債の増額確保とか、あるいは県税の最終的な徴収努力とか、こういったものによって、この21億円前後の財源不足を何とか収支相償うように最善の努力をしたいということで、きのう知事が申し上げましたところに帰着するわけでございます。 以上、収支見通しの大体具体的な中身について御説明を申し上げた次第でございます。   〔椿利策君登壇〕 ◆椿利策君 1つだけ再質問させていただきますが、これは法律問題という以前の知事の姿勢の問題だと思うんですが、庁舎管理規則を考える場合に、先ほども申し上げたんですが、いわゆる庁舎の管理権というものと――これは職員団体に例をとるんですが、その職場が組合活動の場でもある、したがって、何よりもすべてが庁舎管理権が優先をして、組合活動の場であることを無視してしまうということがあってはいけない、その間に何らかの、時の判断はどっちを優先させ、どちらを大事にすることが――こういう比較考量の問題だというわけであります。あくまでも一定の理由があって、だから、たとえば公務の執行の妨げとなる、そういう理由があるからこれは禁止するというのは、これは筋として成り立つけれども、その基準を一切抜きにしてしまって、とにかくも一切これは認めないんだという、そういう論法というのは正しくないのではないでしょうか。このことが一番の基本じゃないんでしょうかと、こうお聞きをしているわけです。 改めてお尋ねをいたしますが、知事はその辺のことをどのようにお考えでしょうか。そんなことはない、すべて庁舎管理権が優先するんで、おれが許可をすれば、許可した範囲で許されると、こう考えるのか。その辺のことを、私はそうじゃないと思うものですから、この庁舎管理規則の問題、そこが一番の基本だと考えますから、再度お尋ねをしたいと思います。   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 重ねての質問でありますが、組合活動に名をかりまして、本来禁煙であるべき県庁の廊下にござを敷いて、たばこを出して寝そべるということは、私は正当な組合活動とは考えておりません。したがって、正当な組合活動は一切干渉いたしませんけれども、県庁のいわゆる庁舎の管理の責任者としてそのような姿勢、座り込みは認めるわけにはまいりません。また、県庁前の広場については従前どおり、勤務時間外におきましては許可をする方針であります。 ○議長(長谷川吉雄君) 次に、広井忠男君の発言を許します。   〔広井忠男君登壇〕(拍手) ◆広井忠男君 自由民主党小千谷市選出の広井忠男であります。通告に従い、順次質問いたします。 まず第1に、伝統的工芸品産業の振興についてお尋ねいたします。 わが国経済の目覚ましい発展は、戦後飛躍的に進歩した科学技術と相まって、私たちの生活をいわゆる文化生活と呼ばれる利便にあふれたものにいたしましたが、反面、機械文明の中に埋没させられ、メカニズムに追い回される現代人の生活は、いかにも潤いと温かみのない殺伐としたものに変えられてしまったのも事実であります。 機械文明の過度な利便性のむなしさを知ったとき、人々は手づくりによって生産され、生活の中に豊かさとなつかしみをもたらす伝統工芸品に目を向け変えました。 こうした国民の欲求にこたえ、わが国のかけがえのない民族の宝を守るため、伝統的工芸品産業を維持し、発展させていかなければならない。 このためには、国が積極的に助成し、本産業の振興を図り、機械文明に埋没した国民の日常生活に安らぎと美を与えるとともに、地域経済、地場産業の発展に寄与し、国民経済の健全な発展を期そうとの考え方から、通産省が49年5月、伝統的工芸品産業振興の法律を制定したわけであります。 指定する産品の基準及び考え方の骨子は、主として日常生活の用に供されるもの、その製造過程の主要部分が手工業的であること、伝統的な技術、技法により製造されるものであること、伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること、一定の地域内に少なくない数の者がその製造を行い、またはその製造に従事しているものであること、原則として10企業以上かまたは30人以上の従事者が存在していることなどが挙げられております。美術品としてのみの伝統的工芸品ではなく、その生産が産業として成り立っている、大衆性に満ちた実用品としての伝統的工芸品である点に最大の特徴があるのであります。 昭和49年12月の第1回指定部会から、今回までに合計77品目が順次全国で指定されましたが、この中には南部鉄器、木曽漆器、飛騨春慶、大島つむぎ、加賀友禅、久留米がすり、九谷焼、輪島塗、西陣織、会津塗、高岡銅器、信楽焼、飛騨の一位一刀彫といった、古来より国民に愛用されてきたすぐれた工芸品が含まれております。 これら全国に誉れ高い名産に伍して、わが新潟県の伝統工芸品6品目、すなわち村上市の木彫堆朱、加茂市のキリだんす、小千谷市の小千谷縮、小千谷つむぎ、南魚沼郡塩沢町、六日町の塩沢つむぎ、本塩沢がいち早く指定を受けておりますことはまことは喜ばしい限りであります。 村上木彫堆朱は、藩主榊原、内藤両氏が江戸時代より領内に漆の栽培を奨励、19世紀初頭に、村上藩士が玉楮象谷から堆朱の技術を習得したのに始まり、中期には産地形成が整い、彫刻と漆芸を組み合わせた特徴ある漆器の産地であり、加茂キリだんすの起源は元明3年、1738年にさかのぼり、加茂たんすの創始者である丸屋小エ門が大工の傍ら杉材でたんすを製造し、その後キリ材に変更、明治10年にキリたんす400さおが生産された記録があり、このころ産業として確立、全国に名高い優秀家具であります。 また、小千谷縮は、醍醐天皇の御代に儀式用として奉進されたころから1,000年にわたり、越後上布として武将の間に用いられ、今日の原形は1680年ごろに確立、その名声は文化8年につくられた長うたの名曲「越後獅子」や、万延元年歌舞伎世話狂言「縮屋新助」が劇化されたほど全国的に愛用され、麻糸使いの着尺産地としては全国有数の規模を誇る産地であり、また、小千谷つむぎは伝統の技術、技法を生かした絹織物で、その起源は天保年間にさかのぼり、現在縮をしのぐ生産量を誇り、主要産業になっております。 塩沢つむぎは、17世紀後半には真綿手紡糸つくり、かすみ糸のより等の技術、技法が確立され、真綿手紡糸を使った蚊がすりと言われる細かい模様が特徴であります。 6品目いずれもわが新潟県の風土に培われ、県人の英知によって技術が伝承されてきた雪国越後の宝とも言うべき特産品であります。 経済成長路線第一主義の通産省としては、近年にないクリーンヒットの本施策ですが、全国47都道府県の中で最も多品目の指定を受けた本県としても、最大限に本制度を利用し、県内の伝統的工芸品産業の振興を図るべきものと考えます。 具体的には、伝統工芸士の養成など後継者の育成事業、伝統的工芸品指定各品目の保存、改善促進事業、技術の伝承、研修事業、一層の品質向上、流通の実態調査、新年早々東京で第1回の全国展示会が開催される予定でありますが、全国的規模の展示会、コンクールへの積極的参加、PR活動、村上市が過日単独で開催しましたが、県下各地での展示会開催、海外への紹介、PR、白根市の仏壇、五泉市のはかま地、村上市の山辺里織といった未指定品目の指定拡大、県独自の補助指導等を含め、本制度と政策基盤は異なりますが、小千谷縮が昭和30年に国の重要無形文化財指定を受け、木彫堆朱が県の無形文化財及び文部省の記録保存の指定を受けているように、すぐれて文化、芸術性の高いものであることにかんがみ、文化行政との兼ね合いも含めながら、県は積極的な指導助成策を図り、振興を期すべきであると考えますが、知事の御所見を賜りたいと存じます。 次に、本県の繊維産業を50年度実績で見ますと、製造品出荷額は2兆1,200億円で第1位、全体の12.5%、事業所数は2万2,740カ所で、全体の第2位、従業者数は27万8,000人で全体の第1位、7.5%と、本県産業の主柱としてきわめて重要な位置にあります。 繊維業界全体の問題につきましては、この後県繊維協会会長であるわが党の西川議員より細部にわたって質問される予定ですが、数ある本県諸産業の中でも最も重要な業種なのに、なぜ主管担当課が独立して存在しないのか、よく問われることであります。ことに、今日のように全国的、全県的に主産地が不況の波に洗われ、その対策が焦眉の急であるときには、一層このことが強く要望されてまいります。 かつて昭和25年8月に繊維課が設置されておりますが、その後36年5月に繊維軽工業課となり、37年中小工業課、45年中小企業課と変わり、昨年、50年5月に工業振興課中に繊維工業班が設けられ、担当参事が配属されておりますが、本県における繊維産業の位置、重要性にかんがみ、繊維課として担当主管課を独立させ、かつ強化充実させていくべきだと考えますが、知事の御所見を賜りたいと存じます。 次に、県土木工事の施行工期についてお尋ねいたします。 県民の切望する福祉社会の建設を重要施策とする本県行政にあって、道路、河川、海岸、治山、治水、港湾、下水道等、公共施設の整備はきわめて重要な県政のかなめであります。災害復旧や都市計画、橋梁、除雪も含めて、県全体予算の4分の1強を執行しながら、県土木部が平素より、田中土木部長の指揮で2,200名職員が、これらの実現進展のために総力を挙げて第一線で取り組んでおられることに、深く敬意と謝意を表するものであります。 ここで私は、土木工事の施行時期について若干触れてみたいと思います。 道路、河川、橋梁等をよりよく改良整備するために、もちろん地元の自治体や住民は若干の不便をしのぎ、協力を惜しんではなりません。 しかし、中には谷沿いの一本道である、あるいは海岸沿い、川沿い、がけふちの一本道であって、迂回路がとれず、地元民にとっては生命線とも言うべき主要生活道路が存在いたします。これらの道路については一日、一時間たりとも交通の停滞は許されないのですが、特に往来する量が急増する時期があります。 秋、米や野菜の収穫期であり、スイカや果樹、商品作物の出荷期であり、またお盆の帰省や、年1回のお祭り、観光の最盛期などであります。 この時期、工事が長く続いているために、時間差交通どめ、迂回路指示、一方通行、交互通行などにしますと、利用者にとっては不便きわまりないのであります。よくわれわれは、公共の仕事をしているのだとして精神的優位に立つ工事施工者と、通行人や運転手のトラブルや、標識を無視しての進入者とのトラブルを見かけますが、この秋、次のような陳情が地元民よりありました。 この村も、主要地方道1本のみが生命線になっている豪雪山間僻地で、わずかな耕作地と副業の錦鯉養殖、出かせぎで細々と生きている村であります。ことしは、特に冷害で山田の稲作は大打撃を受け、せめて副業の鯉を売って急場をしのぎ、一日も早く出かせぎに出なければならない窮状にありました。しかも、県外から来る購買客はほんの10日か半月がピークで、この短期間が一年じゅうの売り上げの山場でもあるわけです。 たまたま、工事期が雪降り前のこのピーク時と重なり、交通どめ、市道を経る迂回路を指示したのですが、これが山の中で農道並みの、狭隘なわかりにくい道だったため、途中で道に迷ったり、あきらめて帰ってしまったりという結果を生み出しました。 地元の苦情を受け、早速所管土木事務所と協議の結果解除したのですが、1年に1回の販売チャンスの大半を逸してしまった。迂回路はこれ以外ないし、請負業者もまた雪降り前の緊急施工をしなければならないしで、みんなが困惑してしまったのです。 議会視察の折にもよく同様な苦情を聞いたり、また、こうした現場にも遭遇しますが、沿線居住県民の生活に多大な影響を及ぼすことから、迂回路のとれない主要生活道路については、早期発注や短期間工期指示等により、利用者の不便を極力回避すべきと考えますが、知事の御見解を賜り、適切なる処置を御要望申し上げたいと存じます。 次に、錦鯉養殖の振興についてお尋ねいたします。 動く宝石と呼ばれ、泳ぐ芸術品とまで賞されて、国内はもちろん海外にまでその名を広く知られた本県の特産錦鯉も、爆発的ブームの頂点を越えたと言われております。ここでもう一度、原産地としての評価を与えられ、主産地を形成している本県水産業、錦鯉養殖について検討してみたいと考えます。 現在、わが県における錦鯉養殖の実態は、経営体で山古志村の900戸をトップに、小千谷市750戸、長岡市660戸、北魚沼郡720戸、刈羽郡190戸、南魚沼郡170戸、三島郡160戸、栃尾市140戸等全県下に広がり、合計4,300戸、養殖場数は1万1,000カ所、1万ヘクタール、販売量は2,000万匹、年生産量は約50億円と言われております。 発祥の地は、古志郡、小千谷市、北魚沼郡、長岡市、栃尾市の一部を含む旧20村郷であり、いずれも山間僻地、豪雪地であります。山間地であるため、動物たん白の自給の目的で、古来より水田に鯉の稚魚を放ち、自然に成長する鯉を、つくだ煮やてんぷらにして食用に供してき、また急傾斜地にへばりついた水田のために、多くの灌漑用ため池を必要としました。たまたま、多数の食用鯉の中から突然変異種として変わり色つきの鯉が発生、これを何代にもわたって育て、交配を繰り返し、血の出るような先人の努力の末、今日の固定品種を作出いたしました。 草創期は紅白に三色といったごく限られた原種のみであったようですが、立地的には雪解け水をしみ込ませた山々の清冽な清水を生かして産業を伸ばし、大正博覧会における出品と、天皇陛下への献上を機に全国的に名をはせ、越後の色鯉として愛好者間の売買が拡大されていきます。 その後も研究と努力は積み重ねられ、昭和三色、黄金、秋翠、山吹、プラチナといった品種が作出され、順調に発展してきたわけですが、特に昭和40年代、日本の高度経済成長期と生産調整による稲作転換奨励金の2つの要素をてことして、飛躍的に伸び続けたのがこの産業でした。しかし、48年の石油ショックを契機として、日本の経済成長はスローダウンし、国の方針で稲作転換奨励金も徐々にカットされつつあります。 すなわち、稲作転換鯉たんぼは、昭和50年には全体実施面積県下6,000ヘクタールの5分の1、1,200ヘクタール余が養鯉池として3億9,000万円の奨励金を受けていましたが、ことし51年は613ヘクタールで1億8,000万円、来年52年は96ヘクタールで2,800万円、53年にはゼロになるという超急下降をたどらざるを得ないのです。 つまり、昭和40年代の異常とまで言えるブームに支えられて成長を続けてきた鯉業界の景気も、旧来のじみちなグラフに戻らねばならない時代に入ったのであります。ここでもう一度原点に立ち、主産地としての本県の錦鯉産業の方向を策定しなければなりません。 具体的には、病気予防、治療、品質向上、飼育等技術指導のための長岡内水面試験場の充実強化、若齢魚斃死を防ぐため、各種越冬施設への助成、流通機構の改革、生産者組織の育成強化、優秀種苗、種鯉の確保、海外販路拡張への検討に加え、後継者育成の立場で、県立長岡農業高校内に水産科、養殖科を新設することも業界は切望しております。 全国的にも、観賞魚錦鯉の需要は伸びており、豪雪地として今後さまざまなハンディを負いながらも、原産地、主産地としての本県がいかなる施策で温暖地諸県に対抗していくかが重要課題かと思いますが、過疎対策、山村振興、適地適産、内水面漁業振興の立場から、知事の総合的な振興計画への御所見をお聞かせいただきたいと存じます。 次に、山村振興の一環として、畜産振興、観光開発、後継者育成の3つの立場から見た越後闘牛の振興についてお尋ねいたします。 闘牛という言葉を耳にしますと、私たちは井上靖氏の受賞出世作「闘牛」の題名を思い起こしますが、今秋10月25日に放映されたNHK新日本紀行「牛と老人」は、古志郡山古志村に取材したすぐれた紀行作品であり、わが子のように慈しみ、愛着を持って牛を育てる山村の老人の姿は、この番組を見た全国の視聴者に深い感銘を与えました。 新日本紀行のみならず、朝のテレビロータリー、BSN、NSTにも、あるいはまた新聞、雑誌、週刊誌、県の「グラフにいがた」にもそれぞれユニークな山村の催し物として紹介され、盛んに脚光を浴びている本県独自の行事であります。 現在、山古志村を中心に小千谷市東部、長岡市南部、北魚沼郡北部のいわゆる旧20村郷に、江戸時代より400年の伝統を持ち、神にささげる行事としてスタートしており、あくまでも肥育牛のトレーニングであって、死闘はやらせない、勝負はつけない、したがってかけはやらない、入場料は取らない点が特徴であり、きわめて健全な、スケールの大きい山村の娯楽として伝承されてきました。 宝井馬琴の「南総里見八犬伝」にも闘牛とともに紹介された20村郷は、地域的に県下でも有数の山間豪雪地であり、冬の半年は雪に埋もれるため、どこの家でも家の玄関に牛小屋をつくり、干草、稲わら、豆がら等を煮て家族同様に育ててきた肉牛飼育の本場であり、農家の主要な副業でもありました。 しかも、粗食に耐え、頑強で闘争心旺盛な南部牛、日本短角牛の子牛を仕入れ、それぞれの農家で飼育、険しい山合いの農耕に適してよく村人を助け、一方では3歳の若牛から土俵に上げてトレーニングを積ませ、その成長を楽しんできました。 1トンを優に超える猛牛が突き、押し、はね、横がけ、向こう突き等のわざを駆使して戦うさまは力感にあふれ、まさに豪快無双、手に汗握る一大イベントであります。 現在、わが国で闘牛をやっている地方は沖繩県中部、鹿児島県徳之島、四国宇和島、島根県隠岐島、東京都下八丈島と本県の6カ所で、沖繩に至っては闘牛肥育組合32、牛700頭、1万2,000人収容の闘牛場を持って県が主催し、徳之島でも牛500頭、8,000人収容の施設を持ち、いずれも県が主体となって宣伝活動を行い、観光客誘致に力を入れておりますが、本州ではわが新潟県の越後闘牛1カ所のみであります。 かつては、牛が多くて晴天3日の連続開催をやった時代もあり、戦後長岡大博覧会への参加、大正3年3月両国の国技館で、本県の越後闘牛牛と四国の宇和島牛とで5日間の他流試合をやった記録も残っており、昭和23年兵庫県西宮球場への四国牛の遠征が井上靖氏の作品「闘牛」として発表されております。 また、戦後昭和23年5月から25年7月まで、動物愛護精神にもとる、敗戦国民の闘争心をあおる等の理由で、マッカーサーの命令で中止通達まで出ましたが、地元では、「人間がやりを持って牛をさんざんいじめ、最後に突き殺すスペインやメキシコの闘牛とは心根からして違う、おら方は牛が楽しんでやるトレーニングだ」との正当理由で、山の中に隠れてどんどんやっていました。 この歴史と伝統を持つ勇壮な闘牛ですが、昭和40年代、約7年間これがとぎれた時代がありました。日本の高度経済成長がピークに達したときです。過疎が進み、若者は波のように都市を目指し、村に残ったわずかな青年も、手間のかかる闘牛牛よりも、より金になる乳牛を飼い、何よりも早朝、朝露を踏んで草を刈ることをきらい、一日の仕事が終わった後夕焼けを浴びながら、谷川のせせらぎで牛の背を洗ってやることをきらったのです。耕運機の音が山々にこだまし、一時間でも早く仕事を片づけて、余暇はオートバイを飛ばして町に遊びに行った時代でした。 しかし、経済成長の停滞とともに、村人たちも青年も、もう一回周囲を見回し、この山合いの集落における本当の自分たちの生き方は、稲を育て、鯉を飼い、牛を手塩にかけて育てることであったことに気づきました。自然や動物に深い感謝と大きな愛情を持って生きることが厳しい環境のこの山里の生き方だったのです。闘牛が復活したのなら故郷へ帰ろうと、若者のUターン現象が始まりました。 現在、旧20村郷を中心に、中越山間部に闘牛牛が140頭、肥育牛が山古志村だけで230頭おり、闘牛場は山古志村に2カ所、小千谷市1カ所、北魚沼郡広神村1カ所の合計4カ所、ことしは22回開催して全国から4万人の観光客を受け入れました。 近々文化庁による国の無形文化財指定の動きもあるようですが、私は、今日隆盛を見、全国的にもきわめて有名になった越後闘牛を3つの角度からとらえることができると考えております。 1つは、もともと肥育牛の伝統があり、山野の雑草は無尽蔵に近く、出かせぎ対策としても、冬の副業に最も適している畜産振興の立場であり、1つは、今回BSNが芸術祭テレビ部門、ドキュメンタリーで「山古志のうた」が優秀受賞対象に決定いたしましたが、豊かな自然と素朴な民情、春秋豊富な山の幸に錦鯉、民宿を加えた観光開発であり、いま一つは、それでなくても過疎の進行する山間豪雪地に、後継者たる若者たちの健全にしてダイナミックな楽しみを与え、郷土に居つかせ、ふるさとのよさを再確認させる、いずれも山村振興に大きなてことなるべきものであります。 幸い県としても、いままで観光施設整備事業や集落地域整備事業助成で闘牛場観覧席、駐車場等の整備、農林水産業振興事業費助成による牛舎施設などの助力をしておりますが、畜産振興、観光開発、出かせぎ対策、後継者育成、青少年対策等、山村振興の立場から全国的にもきわめてユニークな越後闘牛に一層の助成をすべきであると考えますが、知事の御所見を賜りたいと存じます。 最後に、特用林産業の振興対策についてお尋ねいたします。 一般に特用林産物とは、林野から生産される木材を除いた各種林産物の総称であり、わが国の特用林産物には食用となるシイタケ、ナメコ、エノキダケ等のキノコ類を初め、栗、クルミ等の果樹類、ワラビ、ゼンマイ、フキ、ワサビ等の山菜類、工業用資材となる漆、松やに等の樹脂類、コウゾ、ミツマタ等繊維類、ハゼの実から搾油される木ろう、椿油、キリ油等の林産油脂類、建材となる竹、キリ、シュロ、アベマキの樹皮、キハダ、黄蓮、ゲンノショウコ等の薬用植物、木炭等、種類、品目数はきわめて多く、地方的特産物を含めれば数十品目に及んでおります。 これら特用林産物は、技術的な栽培によって生産するものと、山野に自生している天然資源、あるいは既存の資源を利用するものとがありますが、いずれも自家労働と立地条件の有効的活用によって、農林家所得の補てんに役立ち、その結果、林木生産の長期性の補完、山村経済の振興、過疎対策の面で重要な役割りを担っております。 一方、わが国の総林野面積2,500万ヘクタールは国土の68%を占め、本県における林野面積は84万ヘクタールで、県全体の67%に相当いたします。いずれも全面積の3分の2以上を林野が占めているわけですが、本県林野全体の立木地は針葉樹が15万6,000ヘクタール、広葉樹が55万7,000ヘクタール、更新困難の無立木地が12万7,000ヘクタールとなっております。 植林を推進して木材を増産していくことはもちろん大切なことですが、比較的利用価値の低い広葉樹林や木材の伐採搬出ができない深山、あるいはまた魚沼、頚城地方のように豪雪地のため全くぶちゃり山になっている雑木林等、この広大な国土、県土の空閑地をいかに生かしていくかであります。 豪雪地小千谷市を例にとると、山林面積が6,500ヘクタールのうち植林されているのはわずかに14%の900ヘクタール、炭も焼かず、ガスの普及でまきも切らなくなったこれらの雑木林をいかに利用していくべきか、県の強力な指導を期待しております。 そこで、特用林産業の振興を提案したいのでありますが、本産業振興の意義は、経営によっては高収益が期待される商品作物であり、また短期に換金できるため、農林家の経営安定に役立つ、農業と林業の接点に位置しており、他作目との複合経営に適し、豪雪地本県に特に多い空閑地、傾斜地等低利用な土地はもちろんのこと、杉とシイタケといった立体的有効利用が可能であって、農林経営の拡大に役立つ、シイタケなど品目により移出産品として今後も重要な位置を占める等であります。 本県の主要特用林産物の生産状況は、シイタケ、ナメコ、エノキダケ、ヒラタケ、マツタケ等のキノコ類が全体の半分で、年間1,800トン、15億6,000万、ワラビ、ゼンマイ、ワサビ等山菜類が900トンで10億2,000万、キリ材3,700立米で4億円、竹材4万7,000束で7,000万、栗、クルミ類が560トンで2億2,000万、合計33億円に上っております。これは他の年間農業生産額花卉17億円、養蚕12億円、種苗、苗木26億円をはるかにしのぐものであり、肉用牛49億円に迫るものであります。 全国的に見ても、全体の生産額は年々増大し、昭和50年には概算で1,800億円にも達しております。全体の90%に当たる1,600億円が食用特用林産物で占められ、しかもこの80%がキノコの生産額となっております。 特用林産業の振興課題として、現在、生産規模の零細性、集荷、加工、流通の複雑性、高度な栽培技術、生産基盤の未整備、積雪地帯の気象条件に適合した固有品種の選択固定、生産技術の体系化等が残されておりますが、本県としてもこれらの特性、利点を十二分に考慮して振興策を立てるべきであると考えますが、知事の御所見を賜りたいと存じます。 とりわけ、食用向けのものは、経済力上昇に伴う食生活の向上、多様化に伴い、消費は年々増大し、特にシイタケはだれにも喜ばれる美味である上、栄養的、薬効的価値が解明され、自然食品、健康食品としての評価は高く、需要が急増しているため、キノコの原木安定供給対策、優良種菌安定供給対策、食用キノコ生産流通振興事業等の振興長期計画を立てる。 特にシイタケの栽培技術の向上、本県適品種の選定、エノキダケ等種菌の培養、供給、栽培技術の普及のため、県林業試験場内に担当係を設け、研究、開発、普及、指導に当たらせるべきと考えますが、あわせて知事のお考えをお聞かせください。 特用林産業の振興を図ることは農山村地域に就労の場を与え、現金収入を短期に可能にし、農林業の複合経営のもとに、山村振興につながることは言うまでもありませんが、他方、資源問題、食糧問題が世界的に重視されている今日、特用林産物は古来から日本の風土に育ち、定着した作目であって、資源政策上その維持、培養、有効利用に対する期待はきわめて大なるものがあります。 冒頭申し上げました、通産省指定伝統的工芸品、天下に冠たる村上木彫堆朱は、名君榊原、内藤両藩主の卓越した行政手腕により、雪国の雑木林に漆を植えさせたことからスタートし、今日の地位を築き上げました。 南北に伸びる広大な越後の山河、その県土の半分以上を占める空閑林野に特用林産業を興し、郷土のぶちゃり山を宝の山に開発しようではありませんか。 以上6項目、君知事の明快な御答弁を期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 広井議員にお答えいたします。 まず第1に伝統工芸品産業の振興の問題でありますが、これら補助制度につきましては、今後産地の一層の振興を図る見地からも、補助対象事業の拡充と補助率の引き上げ等について、積極的に国に働きかけを行ってまいりたいと考えます。 また、県単の助成制度につきましては、本年度においては小千谷、塩沢の織物工業協同組合が行っております伝統工芸品産業指定織物の保存、改善事業に対しまして補助を行い、その振興を図っておるところであります。今後につきましては、財政事情等も考慮しながら十分検討してまいりたいと考えております。 また、この指導育成に当たりましては、県といたしましても、関係法律に基づきまして設立された伝統的工芸品産業振興協会に出資いたすとともに、協会が開催いたします全国展示会に県が小間料を負担いたしまして、積極的な参加を呼びかけておるのであります。 また、県内におきます展示会につきましては、県特産品の見本市や物産展等によりまして、これらの拡充発展について努力をいたしておるところであります。 また、白根の仏壇等につきまして、現在地元におきましても、これが指定を受けるべく検討がなされておりまして、県としても指導に当たっておりますが、今後他産地につきましても、指定要件に該当するものにつきましては、指定を受けられるよう積極的に指導してまいる所存であります。 伝統的工芸品産業の振興に関する法律によりますと、伝統的工芸品と教育委員会所管の文化財とは政策基盤が異なってはおりますが、指定された工芸品と技術については相互にきわめて深い連係があるわけでありますので、今後とも文化行政部門との十分な連絡をとりながらその振興を図ってまいりたいと考えております。 次に、繊維産業についてのお話でありますが、国民生活産業としての使命を担いまして、これに従事する従業員や家族を含めますと、本県内で約20万人とも推定されておりますきわめてすそ野の広い分野でありまして、本県経済の重要な地位を占めておる産業でありますので、繊維産業の振興につきましては、これまで県政の重要な柱として各種の施策を積極的に進めてまいったところであります。 このための専門の組織といたしまして、昨年4月、商工労働部に特に繊維工業班を設けまして、課長級の参事を配置して実施の体制の充実を図っておるところであります。今後も業務の必要に応じまして体制の整備を図ってまいる考えであります。特に、繊維課の新設については目下のところまだ実行できないのではないかというふうに考えております。 次に、道路工事の施行の問題について御注意があったわけでありますが、道路工事の発注に当たりましては、迂回路とか片側交通とか、交通確保に留意しておるのでありますが、幅員の狭い道路の改良工事などでは、迂回路がないためにやむを得ず全面交通どめをしている例も若干はございます。しかし、このことによりまして農産物の集出荷に支障を来してはならないのでありまして、十分今後注意してまいりたいと思います。具体的には、地元とよく相談の上、工期の設定や工事の一時中止など十分配慮してまいる所存でございます。 次に、本県の内水面漁業、特に錦鯉の振興の問題でありますが、これは御指摘のように長い伝統を有し、過疎山村地域の主要産業であるだけに、これを今後とも振興させる必要性については十分考えておるところであります。 まず、錦鯉生産技術の指導体制の強化につきましては、現在内水面水産試験場において錦鯉の遺伝、魚病、優秀親魚の飼育管理等の試験研究を実施しておるほかに、その成果の普及指導を行っておりますが、今後とも内水面水産試験場がより充実した試験研究を行いまして、錦鯉産業の振興に寄与できるよう一層の努力をいたす所存であります。 次に、錦鯉の各種振興策でありますが、本県の地理的条件から、その整備が不可欠と考えられます越冬施設に対する助成や錦鯉の流通機構を実態に即応して充実整備することにつきましては、内水面総合振興対策事業等の施策の推進と関連させながら積極的に検討してまいりたいと思います。 さらに、錦鯉を取り巻く諸情勢を勘案いたしますと、本県錦鯉の生産は優秀品を主体とすべきであると考えられますので、優秀種苗の確保に努めまして、本県錦鯉の品質向上に努力してまいりたいと考えております。 また、錦鯉の需要の増大をさせるとともに、海外への輸出につきましては輸送の点などむずかしい問題がございますが、重要なことでありますので、研究、検討を続けてまいりたいと存じます。 なお、後継者育成のため、県立高校に学科を新設することにつきましても、錦鯉専門農業の実態や山村農業経営の実情を踏まえまして、地元産業の育成と後継者育成を十分加味した教育内容を実施するよう教育委員会とも協議をいたしたいと考えております。 次に、闘牛の問題でありますが、観光開発としての闘牛と畜産振興についてでございますが、闘牛そのものの飼育は、頭数的にも農家経済の面からも限界がありますので、闘牛の飼育は肉牛生産と一体的な形で行うことが望ましい姿であろうかと考えます。このような方向におきまして、今後闘牛飼育技術を肉牛飼育技術にも活用いたしまして、また牛舎なり放牧場の共同利用施設を整備拡充する等、積極的に闘牛の保護育成を図りたいと考えております。 現在闘牛の行われておりますところは、本県山古志村を含めまして御指摘のように全国でわずか五、六カ所でありますので、貴重な観光資源となっておりまして、最近ブームを呼びつつあります。本県の闘牛のPRにつきましては、観光開発、畜産振興、さらには過疎山村振興という観点から、より積極的に進めてまいりたいと考えております。 次に、特用林産物の振興の問題でありますが、本県の主要特用林産物の生産額は、昭和50年度で約33億円と想定されております。農山村地域の就労の場として、また現金収入源として農業者の、また農家の複合経営の重要な部分を占めておるのであります。 先ほどはきわめて詳しい御指摘をいただきましたが、非常に参考になったわけであります。今後需要の拡大と、これに対応して主産地形成の促進、栽培技術の向上など、生産対策を講じていく所存であります。 また、県林業試験場のキノコ類に関する研究につきまして、品質や生産技術の向上を図るため、今後充実強化を図ってまいりたいと存じております。 以上で答弁を終わります。   ――――――――――――――――― ○議長(長谷川吉雄君) 暫時休憩いたします。  午後0時35分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時7分 開議 ○副議長(高橋十一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、曽我四郎次君の発言を許します。   〔曽我四郎次君登壇〕(拍手) ◆曽我四郎次君 県の60年長期構想は、もちろん県政全般にわたるのでありますけれども、私は、特に農林水産業関係に的をしぼりまして、知事に幾つかの点でお伺いしたいと思うのであります。財政事務局を通じまして、一応私の質問は大体7項目にわたって詳しく打ち合わせをしておりますので、知事は十分御用意の上で答弁をされると思いますので、野党ということでなしに、親切丁寧にひとつお答えを願いたいと思うわけであります。 県総合開発計画の議案が、50年2月5日に開発審議会に諮問され、その後人口問題及び経済成長率の一部手直しの必要から発表がおくれて今日に至ったものであります。私は、本年2月議会で、農業就業人口、特に若年層の農業離れ、農地造成、大型機械化による収奪農業への移行、優良農地の壊廃、農業の基本を無視した手数農業の原則をあえて否定するような減反しても反収を上げ、目標の90万トンの米が最終的に確保できるなど、考え方の甘さを指摘し、本案の練り直しを強く主張してきたところであります。 本計画推進のために、知事は、1、農業の中核的担い手を育成する。2、第2次農業構造改善事業を実施する。3、営農土づくり集団を育成する。4、組織化モデル集落づくりを促進する、などを柱としているのでありますが、審議会の席上、一部委員から、農用地の新規開発や、米、野菜の生産分野などに楽観的な見通しが少なくないとの指摘があったと言われているところであります。 紀元2000年の食糧危機説は、私だけでなくすでに幾多の人々が取り上げたところでありますが、それはそれなりに意義のあることで、日本農業、わけても本県農政を論議する場合に、不問に付するわけにはいかない問題であります。自民党単独政権が30年続いたが、その体質からして、大企業優先の政策重視であることに不思議はないけれども、農村が自民党の票田だと誇示されてきたことに、異議を持ち続けた一人であります。高度経済成長という麻薬に心まで冒され、あめとむちの政策で高価な若年労働力を都市に大移動させ、山村の多くは無残な過疎という廃墟にされてしまったのであります。大切な国民の生命を預かる食糧が自給率40%を割り、外国農産物の絶好のマーケットになってしまったのであります。農地と山村の復興と農民の魂を蘇生させることは一朝一夕にできることではありません。 今次総選挙は、現職農林大臣が落選するなど、予想を上回る自民党の凋落ぶりでありましたが、特に、農村を地盤とする議員の落選が目立っていることが特徴であります。自民党農政の批判と見るべきでありまして、農業を疎んずる者、国政参画の資格に欠ける者だという農民の厳しい批判が端的な意思表示となってあらわれたものだと思うのであります。 全国農業共済連が、全国組合農家1万2,000戸を調べた生活調査を取り上げてみるに、農民の農政に対する不信と農業への不安が端的に表明されていると言えるのであります。 ちなみに関係部分の幾つかを取り上げてみたいと思うのでありますが、まず第1に、労働力の不足、25.8%。2、後継者がいない、20.8%。3、生産資材の値上がり、29.3%。4、農業政策に対する不安、29.8%。5、農産物価格の変動、13.2%。さらに農業に対する考え方でありますが、専業指向農家は18.1%といった内訳になっているのであります。本県の専業農家は全国平均を大きく下回り5.4%で、60年にはさらに減って5.1%になるというのであります。 以上のことは、どれ一つとってみましても、政治が農業を疎外していたといって間違いないものばかりであります。 専業農家が計画年次には8,100戸に減り、第1種兼業農家が激減し、第2種兼業農家が64%にふえるというに及んでは、もはや大農業県としての将来に赤信号をともされたことを意味するのでありまして、いまこそ知事は、農政の有識者やすべての機関の英知を集め、食糧基地としての新潟県農業を盤石のやすきに置く強力な施策を打ち出すときだと信じますが、知事の所信のほどを承りたいのであります。 アメリカを初めとする海洋専管水域200海里は、いまや全世界の常識であり、遠洋漁業を主とする日本は、まさに重大な危機に立たされたのでありますが、本県にとりましても、またそのらち外ではありません。さすがに本構想は新時代にふさわしい農林水産業の振興というタイトルで、次のように論及しているのであります。すなわち石油危機以来、世界的な資源ナショナリズムの台頭の中で、農林漁業生産物の自給率向上は国家的命題となってきたとして、わが国の総合食糧自給率は著しく低下した。加えて世界的に供給不足を強め、高価格時代に入りつつあるとし、海外依存にはおのずから限界があるので、ナショナルセキュリティーの面からも、国内自給率の向上はきわめて重要であると、初めて大胆率直に現状を認めているのであります。 次に、幾つかの問題点を列挙しながら、知事の所信をただしたいと思うのであります。 本構想は練り直されたことになっているが、特に経済成長率7.8%を6.85%にし、人口253万人を259万人に修正されたのであるが、その根拠は何でありましょうか。この計画は、国の第三次新全総にその根拠を置くものでありますけれども、国のベースを超えて知事が常に口にする本県の主体性が十分に貫かれたかどうかということでありますけれども、私は、その点について幾つかの疑問を持つものであります。まず、これに要する総投資額は1兆8,500億円で、市町村自治体の分担は、市町村自治体が8,900億円を支出することになっているのでありますが、とかく財源の拘束などで本計画が果たして順調に促進されるであろうかという懸念でありますが、この点につきましては、市町村デスクとの連携は十分になされているのかどうかを伺いたいのでありますが、知事は、私のこの心配に「それは心配無用だ」とお答えができるのかどうか、伺いたいのであります。 県は、農業振興策の展開に当たって、地方自治体のみでは十分対応しにくいものがあるので、生産物の価格安定、農地の流動化等の諸制度については、国の施策の改善を要請すると言っているけれども、この種の弁明は何回も知事から聞いているが、実現の例はきわめてまれだからであります。日報の11月11日の社説は、いみじくもこのことを論破しているのであります。すなわち「計画を願望にするな」と厳しい指摘をしているところであります。この種計画が画餅もしくは中途半端に終わることが多いからでありますが、知事の責任ある御答弁を求めるものであります。 次に、農家戸数、農家人口、耕地面積、農業生産の方向などについて、数字を挙げて具体的に質問いたします。 農業人口減少の割合が鈍化して、専業農家人口は50年対比88%の15万8,000人、専業農家は14%減の8,100戸で5.1%、第1種兼業農家は32.5%、第2種兼業農家は62.4%であり、農家人口は50年対比77%の67万3,300人、耕地面積は今後10年間に1万4,000ヘクタールの壊廃の見込みで、なお新規開発は1万2,600ヘクタールで、およそ現状の21万8,000ヘクタールは確保の見込みとなっているのであります。私は、この点にもすこぶる疑問を持つのであります。つぶれる1万4,000ヘクタールは優良農地であり、新規開発の1万2,400ヘクタールは、数年たたなければ農耕地足り得ないものであるからであります。 私の豊栄市の水田面積は、約4,000ヘクタールで、米は35万俵くらいとれるのでありますが、何と10年間で豊栄市規模の農地が4つもつぶれ去るというのであります。経済成長率6%台と低く見ているのに、一体何を見込んで農地をつぶさなければならないのでしょうか。現に不況で農村人口はUターン現象にあり、農地の利用は今後高まりこそすれ減らないのであります。将来の食糧不足が予知され、日本の一大食糧基地を目指す本県は、美田を温存拡大することが重大な命題でなければならないと思うのでありますが、知事は、優良農地の壊廃をやめ、さらに積極的に新規開発をするよう、本計画を改めて練り直す御意思があられるかどうかを伺いたいのであります。 農業生産の方向については、さらに一層の疑念を深めるものであります。参考までに国の米に対する考え方を述べてみたいと思うのであります。 60年、わが国の総人口は1億2,000万人と推定され、47年の1億733万人に対し、伸び率1.1%と踏んでいるのであります。米の1人当たり消費量は、50年88キログラムに対し、60年は81.5キログラムとさらに低下していくのでありまして、依然として外国食糧依存の影を残しているのであります。農地は減るけれども、反当収量は上げるとして、水田面積47年258万ヘクタールに対し、60年は10万ヘクタール減の248万ヘクタールと、年々1万ヘクタールずつつぶしていくことになっているのであります。10アール当たり収量は47年453キログラムに対し、60年は483キログラムと、実に15年間で30キログラムを増収することができるというのであります。国の必要量は1,200万トンでありますから、この計算でいけば1,206万トン取れるので心配はないというのが国の言い分なのであります。耕土培養もろくにしない水田に、大型機械化一貫作業方式では、とうてい不可能なのであります。もし本年のような冷害に見舞われることなどを考えると、外国食糧の輸出規則の可能性だってあることを考え合わせると、実に慄然とするのであります。 本県の計画も、多分にこの発想をとっていると思われるのでありますが、減反分を単純計算で反収をふやして90万トン確保が可能だと見ているならば、はなはだ危険な考え方であることを警告しておきたいものであります。なぜならば、大型機械化はさらに進むし、基盤整備、農業環境の整備をするというけれども、第2種兼業農家62.4%は完全な農業落伍者で、もはや生産源ではないのでありまして、農家という農業傍観者にしかすぎないのであります。しかも専業農家8,100戸、基幹的農業従事者が広い新潟県に何とわずか14万9,000人程度となり、農業従事者の高齢化が急速に進むのでありますから、若い後継者の育成の重大性がここにあるのであります。 さらに恐ろしい農業破壊の現象を見逃がすわけにはまいりません。それは農耕の無定見な請負制の普及であります。青年農業士などの請負なら理解できるのでありますが、大型機械とエンジニアを雇い、人夫で農耕を請け負う全く賃かせぎ的請負会社の出現でありますが、このような営農体系が定着するならば、本来土を愛し作物への愛情を生きがいとした農民魂は弊履のごとく捨て去られ、農業破壊をさらに深め、早めることは必定であります。知事は、いまにして適正な行政指導でかかる現象を小さい芽のうちに摘むべきだと思うのでありますが、卓見をお持ちならば承りたいのであります。 畜産物は76%ふやし県外出荷と、意欲的な取り組みを見せていることは結構なことであります。すでに農家の畜産をも企業として位置づけているけれども、畜産公害が農家の命取りとなっていることも事実であります。しかし、この救済策を長年叫び続けてきたにもかかわらず、抜本的な施策がとられないのははなはだ遺憾であります。施設設備の改善には長期低利な融資制度と流通に対する手厚い保護助成なしには、畜産経営の安定は望めないからであります。 大企業に対しての租税特別措置法で手厚い保護がなされている現実を見れば、畜産農家の保護などは簡単なはずなのであります。知事のやる気を疑ってみたくなるのは、あえて私だけではないと思うのです。せっかく多頭羽飼育が軌道に乗り、採算がとれ、借金の返済に取りかかると、やれ肉が高い、卵が高いと消費者に突き上げられ、安い肉畜を外国からどっと輸入して、農家をたたく。この繰り返しだけでは、公害苦情と闘い、施設改善でコスト高になっている畜産農家は、浮かぶ瀬がないのであります。 試みに、43年から50年までの総合設備資金の貸出先を調べてみたのであります。畜産部門だけを見ると、酪農、肉用牛、採卵鶏、ブロイラー、種鶏、養豚にわずか8年間で350億円しか出していない実情なのであります。本計画では、大規模生産と大量取引の有利性を追求する大規模な専門経営が、山間地域を中心に展開されると強調されているけれども、その手初めはいつどこから、いかなる方法でなさるのかを聞きたいのであります。かかる大規模生産の資金、大量取引の方法などを承っておきたいのであります。 新規開発の農地の利用は、米以外の作物と限定されていますが、知事の信念である複合経営で通年就労のできる農業は、当然畑作、果樹、園芸等に力を入れることとなるのでありましょう。最近の花卉園芸が非常なブームを呼んでいるのに、県は生産農家の育成に手を抜いているきらいがあるのではないか。特に、花木、切り花の伸びは目立っているのに、技術員も足りないし、ろくな補助金も出さないという声を、生産者から聞くのであります。本年度の販売見込みが、花卉園芸でわずか30億円程度では話にならないではありませんか。技術員をふやすなり、流通部門の開拓等に思い切った助成を、たとえば錦鯉、伝統工芸品等に示されたごとく、積極的な取り組みをいたすべきだと思うが、これは農林部長の考えを聞く方が手っ取り早いと思うので、農林部長の答弁を求めます。 なお、本計画の推進には何と言っても農協の協力が必要と思うが、どのような対応を考え、どのように農協とタイアップせられているかも承りたいのであります。 最後に、地元の問題である胡桃山の排水機設置と新井郷川のしゅんせつ計画についてお尋ねをいたします。 新井郷川大排水機の老朽化による排水能力の低下が問題となり、胡桃山に排水機を新設してほしいとの請願、陳情が数年繰り返されてきたのでありますが、実現を見るに至らず、地元農民が雨季に入るたびごと、水害の心配に頭を痛めてきたところであります。しかし、本年たまたま私どもが中心になって巻き起こした福島潟闘争で、急遽農林省が予算をつけることになったと聞いていますが、知事も先般私にある機会で、新井郷川の排水機の予算がつくことになりましたが、これは率直に言って社会党さんのお陰です、ということを漏らされた。この実施はいつになるのか。また新井郷川のしゅんせつも当然これに付随して行わなければならない大事業であるのでありますが、莫大な金が必要であるので、なかなか手がつけられないということも聞いておりますが、この排水機の設置と大量の予算を要する新井郷川しゅんせつ事業の予算交渉は、どの程度まで進んでいるかを、地元農民にかわって明らかにお答え願いたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 曽我議員にお答えいたしますが、最初に、まず知事の農業における所信を問うというようなお話がありましたが、私は、常々申し上げておりますように、本県は農業県であります。したがいまして、農業を第一として県政を進めていかなければならないということは、常々考えておるわけであります。それでその基本は、あくまでも農業を複合経営に持っていきまして、年間農業に近づけたい。これが理想であるわけであります。そのためには、人づくりの問題、土づくりの問題、いろいろの政策があるわけであります。したがいまして、今回の計画につきましては、市町村農協とも十分連携の上、計画の実現に邁進したいというふうに考えております。 国が策定中の第三次新全国総合開発計画は、昨年12月に人口の定住構想などの基本的な考え方から打ち出されましたが、その後具体的な計画はまだ示されておりません。今回当県で策定いたしました長期総合計画は、国の人口定住構想を一歩進めまして、御指摘のように県の主体性を高め、日本海時代における新しい地域社会の形成と高福祉社会の建設を基本目標として掲げておるものであります。さらに、農業問題では優良農用地の確保、農業生産の中核的担い手の育成を図りまして、わが国における食糧供給基地としての役割りを維持するなど、策定に当たりましては、本県の地域特性を十分に配慮いたしたつもりであります。 また、当初策定いたしました試案と今回の成案とでは、昭和60年の経済指標が若干変わりましたが、これは国勢調査の新しい結果、あるいはそれまで不明でありました県内総生産の実績値等の見込みがその後明らかになりましたので、これに基づいて関連の指標を再検討したためであります。 今回策定いたしました長期総合整備計画では、県財政の過去の推移や現状を踏まえながら、本計画で想定した経済指標を前提として、今後10カ年間の財政規模を推計いたしまして、さらにそのうち投資的経費充当見込み額の推計も行っておりますが、本計画におきます昭和60年度までの目標値は、この推計額の範囲内で掲げておりますので、財政圧迫等の心配はないとも考えております。 また、農地の問題でありますが、農地の流動化あるいは生産物の価格安定等の対策につきましては、地方自治体のみで対応することが非常に困難でありますので、日ごろ政府に対しても施策の改善充実を要請しておるところでございます。こうしたこともありまして、政府におきましては、農業公社による農地の買い入れ、売り渡し、あるいは貸付制度の創設、農業委員会による農地移動あっせん事業等の拡充のほかに、昨年は農振法を一部改正いたしまして、いわゆる請負耕作を一定の条件下で認める農用地利用増進事業を創設するなど、施策の改善を講じてきておるところであります。 生産物の価格安定につきましては、野菜生産出荷安定法を制定いたしまして、逐次補償対象品目と補償対象出荷先の拡大等の改善をいたしまして、また、畜産物につきましては、畜産物の価格安定等に関する法律に基づきまして、逐次制度対象を拡大し、近年では従来の豚肉に加えまして、牛肉を価格安定の対象とするなど改善を講じてきておるところであります。しかしながら、現行制度では十分とは言えませんので、今後も限られた土地資源の中で生産の拡大と農家の生活水準の向上を図るには、これらの対策の一層の拡充強化が必要でありますので、今後とも政府に対しまして、施策の改善を要請し、その実現を期待したいと考えております。 優良農地の確保につきましては、今後農地開発を積極的に進める所存でありますが、宅地等への転換、公共事業の実施等による減少はある程度は避けられないのであります。また、農業就業人口の老齢化につきましても、避けることのできない状況であります。 しかしながら、米につきましては、今後とも当県農業の基幹でありますので、圃場、水利条件等の整備、良質多収品種の育成を一層促進する考えであります。同時に、かねがね申し上げておりますように、土づくりあるいは栽培技術の向上等によりまして、単位当たり収量の向上を期待いたしまして、作付面積は若干減少いたしますが、90万トン程度の生産量を確保することを目標といたしておるのであります。また、他の作物につきましても、このような考え方に立ちまして、生産の増大を計画しておるものであります。この目標達成は実に容易ならぬものでありますが、施策の充実とあわせまして、農家及び関係機関、すなわち市町村や農協とよく協力をいたしまして、実現に努力してまいる所存であります。 また、農家の請負問題について御心配をされましたが、これらについてもやはり基本的な人づくり、土づくり等の政策を進めることによって、過ちのないように配慮してまいりたいと思うのであります。 さらに、複合経営の関連で、花卉園芸等が重要であるという御指摘をいただいたのでありますが、本県の花卉園芸は、球根、花木、はち物類が全国でも主要な生産地でありまして、その80%以上が県外出荷をされているのであります。しかし、切り花類につきましては、お話のように気候的に冬の日照が少ないために花の色が出にくいことから、冬場には県外品が出回るために、県内産の切り花は夏場を主体としておるのが実情でございます。 花卉園芸の振興策といたしましては、花卉の集団産地化を促進いたしますとともに、農業近代化資金等活用いたしまして、生産集荷貯蔵施設等の設備を図ることにいたしておるのであります。なお、毎年県外数カ所におきまして、花卉、球根の求評宣伝会を開催いたしまして、販路の拡大を図るとともに、指導者の育成や園芸試験場におきます品質安定の研究等を通じて、この振興を図っているところでありますが、今後とも県外出荷を目標に、産地を中心に生産の拡大を図っていく所存であります。さらにこの計画推進と農協との関係について御指摘がございましたが、農協は地域の農業を推進するかなめであります。計画を推進する場合、この健全な育成が必要であることは御指摘のとおりでありまして、このため農協が県、市町村関係機関とタイアップいたしまして、地域の生産組織や農業団地の育成、土づくりの推進などの営農指導を独自の能力で十分発揮することができるように、適正な規模にまで合併することが緊急の要務であろうかとも考えております。県といたしましても、強力にその指導推進を図る一方、農協が取り組むこれらの事業に対しまして、積極的に援助いたしたいという考えを持っているのであります。 最後に、胡桃山の排水機場の問題でありますが、建設省の直轄事業といたしまして、昭和51年度に内水調査並びに機場設計を実施いたしまして、昭和52年度以降用地買収や河道整備に着手する予定と聞いております。これに関連いたします新井郷川のしゅんせつにつきましても、御指摘のとおり部分的に土砂の堆積や障害物等がありますので、昭和51年度におきまして、他門大橋橋脚の除去や福島潟の潟口のしゅんせつ等を県単の維持工事として実施することといたしておるのであります。 なお、昭和52年度以降も引き続き計画的に河道のしゅんせつを実施してまいりたいと考えております。 以上で答弁を終わります。   〔農林部長鶴巻達雄君登壇〕 ◎農林部長(鶴巻達雄君) 新規の開発をした農用地の利用に関連いたしまして、花卉花木の、特にその中の補助制度と言いますか、補助金の拡大充実についての御意見があり、私に御質問があったようでございます。総括的には本問題についても、知事がいま答弁されたとおりでございます。 ただそこで、曽我議員も御指摘になりましたように、新規開発の農用地につきましては、それが熟畑にならない限りはなかなか思うような最高度の生産が上がらないわけでございます。若干の時間がかかる、あるいは多少の時間あるいは相当の時間、年数がかかることは当然のことでございます。そのためにも、その栽培作物に適応した最高度に生育ができるような土地条件をつくる。これが土づくりであり、そういう考え方を持って対処してもらうのが、農民の皆様に対する人づくりであるというところに観点を置いてやっておるわけでございます。 そこで、特に花卉についてだろうと思いますが、補助制度でございますが、私ども生産面、それから流通過程の集荷施設、育苗施設、おのおの補助制度があるわけでございます。 特に農林水産業県単振興事業の県単事業の中でも取り上げてまいっておるわけでございます。ただ新規のところはともかくとして、既存の主産地と言われる、形成されているものにつきましては、なかなか共同的な行き方を組織すると言いますか、農民の皆様方の合意を得ながら、共同的に行動願うという行き方をまず最初にやって、それに対して実は補助なり制度資金の運用を図っておるわけでございます。 特に花につきましては、御案内のとおり、その上に立って適切な価格で市場流通ができるよう、地方卸売市場として花の市場も設けてその指導を通じながらも、生産者並びに消費者の方に向かっての実は対策を講じておるわけでございます。いろいろの団体に対する補助金というお話もあろうかと思います。それらにつきましても、できるだけその目的が共同的に達成できるというような行き方がある場合については、できるだけの対処をいたしてまいりたい、かように考えます。   〔曽我四郎次君登壇〕 ◆曽我四郎次君 農林部長に重ねてお尋ねいたしますが、部長は答弁のうまいことでは有数なんでございますけれども、どうも私の聞こうとしていることを――何か聞き漏らしたのかな。そういういろいろ花卉団体なんかのことについても、もちろん聞きたいと思ったのですけれども、それよりも私は、いまいわゆるどういうのですかな、春からずっと一貫作業で農業会社みたいのができて、その稲刈りまでずっと賃請負をやっている会社がぼつぼつできている。そういうことは、結局土を愛するということにならぬのですから、作物に愛情なんということは全くない機械的な請負仕事なんですね。そういうことになりますと、いまでも相当土地が荒れているわけです。 そういうことだから、こういうものが段々普及してくることによって、県が考えているような60年1万何千ヘクタールの土地を減らしても、単位収量を上げるなんということはできなくなるぞ、土地の荒廃がこれによってもたらされて、農業破壊につながるんじゃないかということを聞いておるのですよ。そういう実例が方々にありますね。私どもの方にもあるのですよ。これは、青年農業士などでやっているそういう連中、まじめな連中がやるのはわかるのですよ、ちゃんと農民魂を持っておりますからね。私の懸念するのは、会社的なさっさとできるだけの能率を上げて、もうけようという会社ができているということなんですよ。そういうことは、いまにしてその芽を摘まないと、大変なことになるぞということを、私は農業を愛し農業を知っているから言うのですよ。その点は農林部長一番よく知っているんでしょう。その点を聞いているのですよ。   〔農林部長鶴巻達雄君登壇〕 ◎農林部長(鶴巻達雄君) まことに恐縮でございました。質問の対象を聞き違えておりました。 御指摘のとおり、いわゆる作業委託という名のもとに、農業者でない会社組織が農作業を請け負うといいますかという状況が、最近出始めたという事実を私承知しております。御指摘のように、私どもは請負耕作につきまして、あるいは作業委託につきましても、きちんとした行き方で対応するという考え方に変わりはないわけであります。御指摘のとおり、1つは生産団地の組織の中で対応していく方法と、それから1つは、農振法の改正されたあの趣旨にのっとってのきちんとした形での請負耕作、作業委託の耕作というふうな形で、真に農業を樹立しようという形で農業を営んでいる方々の規模拡大という形での作業委託が正しい行き方だ。そういう考え方に立って実は指導を申し上げているわけでございます。 ただそういう御指摘のような行き方につきまして、法律上規制するものがございませんので、それはやっちゃいかぬという禁止指導はできないわけでございます。したがって、農民の皆さん方に対してそういう考え方でなくて、農業の前進という形で、いま曽我議員が御指摘になったような形での指導をしていくのが当然である。私もそういう対処の仕方をいたしているわけでございます。   ――――――――――――――――― ○副議長(高橋十一君) 次に、西川万作君の発言を許します。   〔西川万作君登壇〕(拍手) ◆西川万作君 ベテラン先輩議員曽我先生の後を受けまして、最終しんがりを承りました西川でございます。処女質問であり、また、原稿の拙速等、なお、先ほど広井議員からの質問の中でありましたように、立場上質問の中で失礼な点等があろうかと思いますが、あらかじめ御了承を願いたいと思います。 知事は常に本県農業の地位を高く評価しておられると同時に、繊維産業もまた重要な地場産業の柱として考えておられるのはよくわかりますので、日ごろ敬意を表しているものの一人であります。 いま日本経済全体が停滞している中において、単に繊維産業だけでなく、中小地場産業のあらゆる業界が不況にあえいでおり、県御当局も財政面を初め、行政全般にわたって大変御苦労されておられることはよく理解しているつもりであります。 私は、特に繊維産業の推移が直ちに本県農業初め、県民生活に及ぼす重大な影響等を考えて、改めて本県繊維産業の現状を直視され、強く県政に反映していただきたいとの見地から知事並びに商工労働部長にお伺いいたしたいと思うのでありますが、あらかじめ繊維産業の現状と将来の展望等に対する所信の一端を申し述べた上で、質問に入りたいと思います。 農政等に対する諸問題については、毎定例会または委員会等で先輩議員多数の方々による議事対象となっておりますので深くは触れませんが、農業と並んで本県地場産業の重要な柱である繊維産業全体が、いま有史以来の危機に直面しているその状態を率直に申し上げて、よく御理解を願って御判断の資料としていただきたいのであります。 ちなみに申し上げますと、昭和48年10月に発生したオイルショック以後の県内繊維関係の倒産発生状況を統計によって見てみますと、48年は6件、負債額20億2,000万円、すなわち10月にオイルショックの発生した年であります。49年17件、37億3,500万円、50年20件、72億7,000万円、49年はオイルショックの翌年でまだ業者に幾らか余裕があったが、50年に至っては件数にして49年より3件しかふえていないけれども、負債額においては約倍になっているということは、倒産企業が大型化に移行していることであり、それまで何とか持ちこたえていたものが耐え切れなくなって倒産に追い込まれたということになるわけであります。さらにことしに入ってからは、1月から6月までの前半期で合計12件、11億6,800万円、それ以後は7月に2件、4億500万円、8月は2件、18億700万円、9月は9件で12億3,900万円、10月は3件で12億8,500万円、11月は実に8件で約58億円に上っており、いかに最近の倒産がすさまじい勢いで進行しているかがうかがわれるわけであります。 そこで、本県繊維産業の現状打開と将来への展望等によって農業との関連がどうあるべきかの問題が生じてくるものと思うのであります。 まず、本県農業が水稲作を主体とした単作農業であることは周知のとおりでありますが、その本県農業に対する農外収入の確保、または農村人口の定着、あるいは出かせぎ防止に対する波及効果等の諸問題について、繊維産業の果たす役割りはきわめて重要であり、本県農業の振興を図る基盤づくりの上からも欠くことのできないものであると考えられるものでありますが、この点に対する御認識等から先にお伺いいたしたいと思います。 中小企業の繊維産業は、人、物、金を多量に消費する割りには報いられる面の少ない産業であるとされてきましたが、日本経済発展過程の中で貢献してきた大きな足跡は何人も否定し得ないところであります。その繊維産業がいま物価高と不況、すなわちスタグフレーションと言われるむずかしい経済情勢の中で、その前進の行く手には先進国の厚い壁が立ちふさがり、背後からは猛烈な発展途上国の追い上げを受けるというまことに厳しい長期慢性型の、典型的な構造不況産業として山ほどの問題を抱えて、文字どおり危殆に瀕しているわけであります。 国際的要因を含むきわめて複雑な構造不況のため、従来のように、不況の一時期じっとがまんの子で台風一過を待っていればやがて再び春はめぐり来るというようなパターンは絶対に期待できないものであり、このままの状態で推移するならば後継者難どころか、産業そのものの基盤さえ崩壊され、社会問題にも発展しかねないまことに憂慮すべき事態であり、農林漁業等全般に与える影響は、畑作か稲作かで争点になっている福島潟の問題などとうてい比較にならない大問題であります。 私ごとに及んで恐縮でありますが、昨年末から病後との理由もあり、議員活動も十分できないとのことから、地元見附織物組合理事長の辞表を出し、今日に至っているわけでありますが、辞表を受理されるどころか、かえって何倍もの重責である県繊維協会長の職を受けざるを得なくなったような始末であり、いかに繊維業界が差し迫った状態であるかを御推察願いたいのであります。これは単に見附だけの問題ではなく、多少の状況差はあっても、繊維関係産地は挙げて大同小異であることは疑う余地がないのであります。 しかし、広井議員から先ほど質問にありました伝統工芸品の指定産地は、量産化の産地でないだけにこれは別であります。 こういうことを申し上げるのは差しさわりがあるかもしれませんが、県内広範にわたる繊維産地から、繊維関係の経営に直接携わっている代表的な人が県議会にほとんど出ていられない事実を見ても、これは決して偶然のことではないのであって、いかに暇や金がないかを物語っていると思うのでありまして、常に苦しい経営を続けながら、直接発言の場にも出られない実情であったかが考察されるのであります。なお今後も、繊維産業の国際競争はあらゆる面で厳しさを加えてくるわけであります。 それで先般、12月7日、中央における繊維工業審議会で、かねて1年有余にわたって審議されていた答申がついに通産大臣あてに提出されましたが、その内容はまことに冷厳なものであり、最終的結論として、繊維企業のおのおのが真剣な自己努力を傾けること以外に、厳しい国際競争に打ちかつ道はないとされており、私も理論としてはまさにそのとおりであると認めざるを得ませんが、現実問題としては、関連業界のそれぞれが新しい繊維業界の一員として生き残れるのか、転廃業に踏み切るかの厳しい選択を迫られているわけであります。転廃業とは、すなわち、聞こえはいいが、現実には倒産整理であり、ついていけないものの犠牲はやむを得ないという冷厳なものであります。 その中において、筋の通った自助努力に対し、国や県がどれだけの範囲で協力援助できるかが新構造改善のフォームとなるわけでありますけれども、その新構造改善の中枢である情報センターの設立が、制度の上からも現実の面からも不可欠の必須条件でありながら、その投資が設立後短期間に直接利益につながるというものでなく、ある程度長期間の的確な運営によって初めて投資効果が期待できるというものであり、さらに集約条件として、垂直的な結合が条件となっている厳しい枠がはめられているので、非常にむずかしくなっており、その計画を実行するには大きな勇気と困難が伴うものであり、業界の自助努力だけでは容易に実施できるものでないことは、県当局も大体理解されていると思うのでありますが、これからの指導と助成の方策をどのように考えておられますか、特に御理解のある所見のほどをお伺い申し上げるものであります。 次に、試験場の活用についてであります。 前段申し上げた構造改善等の実施に当たりその成果を上げるためには、管理、技術、運営等あらゆる面の完璧を期さなければならないのは当然であります。そこで、ちょうど見附市のど真ん中に県工業技術センター傘下の見附試験場が存在するわけでありますが、この試験場は従来化学工業部門と編織部門とを重点にされており、すでに所期の目的は十分果たされていると思うのでありますが、現在の建物、設備等はほとんど老朽化されており、特に建物及び設備の中で遊休部分が相当ありますので、これをアパレル部門の育成指導に重点を移されるならば、現有の広大な敷地及び工場建物等の大部分が不要となるわけであり、幸い見附駅と市街地の中央に位置する枢要な場所になっているために、地価も相当なものになっているので、一部転売でもすれば、コンパクトなファッション指導の殿堂を建設するくらいわけないことと思われるのであります。それで、現在見附試験場は工業技術センターの傘下になっているので、相当拘束力が強いように見受けられますが、これをある程度まで独立機能を拡大して自主的運営のできるようなシステムに変えられたら、さらに効果が上がるものと思われるのでありますが、その辺の御配慮も必要ではないかと思うのであります。 本県繊維産業の長期ビジョンを描く上においては、やがて近い将来開通される予定の上越新幹線を初め、関越、北陸高速自動車道を軸とする交通網の整備拡充によって、東京都を中心とする関東周辺一帯の大消費地を指呼の間におさめることとなりますので、日本海時代の到来と相まって、その大市場に対する最適の立地条件となり得るものであり、従来の生地生産主体の産地から、2次製品までの一貫化体制を確立し、総合的ファッションのメッカをつくり上げることに成功するならば、いやがおうでも人は集まってくる。人、物の往来はしげくなるという好循環となることは自明の理であり、本県全体の飛躍的発展に大きな役割りを果たすことは間違いないことと考えられ、また、本県繊維産業があらゆる困難を乗り越えて発展していく道もこれ以外ないと確信するものであります。 それについても、あらゆる計画実施の大前提となるものは、何と言っても人材の確保であることは言うまでもないことであり、そのためには、当然人材養成機関が必要でありますが、当面は前に申し上げました試験場等を有効的に活用する以外ないと思われますが、将来への布石として、どうしてもアパレル専門の高校、さらにはせめて短大くらいまでは必要と考えられるのでありますが、いかがでありましょうか。位置としては見附と栃尾の中間くらいが適当ではないかと考えておるものでありますので、御参考までに申し上げておきたいと思います。 ちょっと余談になりますけれども、本県名物の雪を、もし天の恵みの資源としてスキー以外に活用することができるとしたら、すばらしいものだろうと思うのでありますが、たとえば最近水資源の不足問題が表面化しつつあります。その降る雪を降る後から解かすことが考えられれば水となり、水となれば工業用水ともなり、また、電源開発のもとともなる。電気が豊富にあれば道路の電気融雪等はそう難事ではないこととなる。豪雪地帯の上越国境が一転して無雪道路と化し、スキー客輸送は快適となって、また、ファッション製品の輸送も至便となる。まさに一石三鳥とも相なるわけであります。豪雪地の悩み変じて天与のありがたい資源となる可能性なしとしないと思うのであります。 繊維産業の基盤充実とあわせて、その理想が実現されるならば、本県が500万人口県に発展するくらい夢物語ではなく、たちまちにして日本海側の先進県として無限の発展が期待されるのではないかと考えただけでも、血沸き肉躍るの思いがいたすのであります。 雪の余談はとにかくといたしまして、繊維産業のアパレル化成功の暁にはパート勤務者の雇用拡大を初め外注、下請、家庭内職等に至るまで、公害のない、広い場所は要らない、収入は多い、まことによい産業であり、その波及効果は県下全域のすみずみにまで及ぶものと期待されるのであります。知事は先ほど答弁の中で、繊維産業就労人口20万人と理解をされておりますが、試験場の活用、学校建設については、投資効率の面から言っても将来必ず大きな付加価値となって還元されることを確信するものであります。決して高い投資とは思われないのでありますが、御所見のほどをお伺いしたいものであります。 県当局も財政難時代の到来で大変でありましょうが、日本海時代を先取りする意義等も含めて、ぜひとも早期実施のできますよう、本問題につきましては、特に知事からの積極的なお考えを承りたいと思います。 それから、2月県議会において馬場議員から提言のありました繊維振興基金制度創設の件について、知事は貴重な提言として評価され、十分研究させていただきたいとの答弁をされておりますが、その後の推移をお聞かせ願いたいと同時に、一日も早く実施に移されるよう、あわせて知事の御明察による決断をお願いいたしたいものであります。 最後に、商工労働部において進めておられる中小企業振興基本計画策定中の繊維関係部門の進捗状況はいかがでありましょうか。大いに期待しているものであり、商工労働部長の積極的な御所見をお伺いいたしたいものであります。 続きまして教育問題についてでありますが、教育の問題は余りにも大きく、むずかしく、もちろん基本は立法府である国会の場で取り上げられるべきものと考えており、県としてやれるものには限界があるわけでありますが、何と言っても国の栄枯盛衰を左右する根幹は教育であることは論をまたないところであり、現在の教育基盤には非常に重大なものがひそんでいるものと思われますので、私の所感の一端を申し述べ、教育長の御批判と所信を承りたいと思うのであります。非常にむずかしい教育問題についての質問をほとんど一手に引き受けて答弁に立っておられ、まことに御苦労のことと思いますが、よろしくお願いいたします。 政府は最近になってようやく徳育、知育、体育のバランスのとれた教育の推進に力を入れると言っておりますが、私は全く遅過ぎた春といった感じがしてならないのであります。教育に対する県行政としては、国の基本に沿って、その至らざるところを補完する形で推進していくべきものでありましょうが、事、教育問題については、特に勇気と実行力に乏しいわが国の教育行政に従ってその後からついていくようなことでは、実に頼りない感じがしてならないのであります。 私は、もちろん教育の専門家ではありませんが、この遅過ぎた政府の決断と実行のおくれを取り戻さねばならないという観点から、何としても徳育優先教育の導入こそが急務ではないかと考えるのであります。なぜならば、国の言っているバランスの中で、わが国で最もおくれているのが徳育であると思うからであり、道徳教育が推進され、理解力が出てくれば知育や体育などはおのずからついてくるものであり、心配しなくとも必然的にバランスのとれた教育になるものと思うのであります。人間生活に道徳は必要欠くべからざるものでありますが、仮に人間が仙人のように一人で生活できるものであるならば道徳は要らないのであります。一人ならば秩序もルールも不要だからであり、一人で勝手に行動すればよいわけでありますが、それが複数、2人以上ともなれば、たとえ夫婦であっても社会が構成され、ルールが必要であります。 わが国の教育が現在のような状態で推移していくならば、日本民族総非行化、やがては総白痴化になりかねないような気がしてならないのであります。 さすがに、教育問題については、最近かなり論議が盛んになり、多少なりとも前進しているものと評価できる面もありますが、ロッキード事件にしても政官界汚濁問題にしても、皆枝葉の問題であり、また、入試地獄や学歴偏重等の問題もすべて枝葉末節の問題であって、根本原因を究明しないで枝葉の問題だけを取り上げて騒いでいるのが現状であるのでございます。時間の関係上、余り深くは触れられませんが、たとえば病気の原因を突きとめないで、出た現象に対症療法をして、一時は治ったように見えても、病源が残っているならば必ず繰り返し出てくるに決まっておりましょう。 率直に申し上げますと、もし手術した後の私の体に少しでもがん菌のようなものでもどこかにひそんで残っているとしたら、必ず再発するでありましょう。私の言うその根本原因とは何であるか、それは人間の本能的エゴイズムであります。この個人エゴを中心として、政治エゴ、地域エゴ、団体エゴ等々のすべてのエゴを浄化する方向を土台にした教育でなければ、幾ら知識だけを教え込んでみても、真の人間進化にはつながらないということであります。徳育なき知育は悪魔をつくると言われますが、まさにそのとおりだと思います。いま政界では与党、野党を問わず、口を開けば自由を守る、民主主義を守る、真の自由と民主主義を守るのはわが党であると力んで言っておりますが、自由を守るには秩序とモラルが絶対に必要なのであります。その秩序とモラルを確立するには強いエゴがあってはできないのであり、これがすべての基本である以上、このエゴを浄化する方法でなければ根本療法とはならないわけであります。それが、エゴのサンプルのような、教師がストライキや座り込みの過激な違法行為の先頭に立って、どうして教育者と言っていられるのか、どう考えても全く理解に苦しむものであります。 西独の戦後の名首相とうたわれたアデナウアーは日本の教育勅語を基本にして政治経済の運営に当たり、あれだけの発展をなし遂げたと言われておりますが、いま日本の教育界には道徳教育と言うとすぐ封建的である、反動である、戦争につながると言って拒否される風潮が支配的でありますが、実に不思議でならないのであります。道徳が拒否されるということは、その逆である不道徳であってよいということになりはしないか。恐らく、不道徳で他人にどんな迷惑をかけてもよいなどと思っているような人は、特殊な例外を除いてはいないだろうと思うのでありますが、こんなことくらいがどうして解明されないままで放置されているのか、不可解でならないのであります。 私が枝葉の問題を申し上げたのもこの辺にあるのでありますが、真理はただ一つしかありません。イデオロギーとは違い、与党も野党もないはずであります。真の自由主義、民主主義を叫ばれるならこの出発点、原点から解明していかなければならないと思うのであります。中央において野党辺の先生方が、金権政治や金権選挙を根絶やしにすると言って公言しておられますけれども、それはできるはずはないのであります。たとえば、きれいな選挙を徹底させるには、候補者などから物や金をもらって投票するなどは最大の恥辱であり、社会から葬られるくらいのモラルが確立されない限り、根絶やしにするなどはとうてい不可能であると言えるのであります。それでこそ一票の重みが金銭にかえがたい貴重なものとなるでありましょう。 戦後の押しつけられた憲法をもとにした教育で三十余年たった今日、唯物主義だけが発達して、日本固有の美徳は根本から失われようとしております。これをまた根本からやり直すのは非常に遠い道かもしれませんが、どうしてもやり抜かねばならないと思うのであります。基本的人倫への道筋は一つしかないはずでありますが、いまの世代には自由と放縦の区別さえつかない者が想像以上に多いのに驚くのでありますが、最終目的は決まっていても、そこへ行く道筋がわからなければ行くことはできません。たとえば大阪へ行きたいのに青森行きの切符を買ったのでは、行かれるはずはありません。その最終目的地への正しい行き方を教え、話し合いで物事の解決できる人間育成の教育こそが本当の教育であり、すべての問題解決の根本であるということを明言申し上げるものであります。いまこそ新潟県教育の道標を確立するために、大いなる勇気を持って取り組んでいただきたいと思うのでありますが、教育長として、建設的なお考えがありましたら、ぜひともお伺いいたしたいと思うのであります。 通告しておりました非行化の問題並びに主任制の問題につきましては、昨日猪俣議員、長浜議員からそれぞれ詳細に質問がありました、御答弁もありましたので、大体理解ができましたので省略させていただきますが、主任制問題、非行化問題等に一層の勇気を持って推進していただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 西川議員にお答えをいたします。 最初にお話のありました農業と地場産業、特に繊維産業との関連の問題でありますが、まさに御指摘のとおりでありまして、本県の特殊性として、特に農業並びに地場産業の重要性はまことに大切な事業と考えておるわけであります。特に、最近の県内繊維産業の現況は、ここしばらくはようやく立ち直りを見せつつあったようではありますが、しかし、発展途上国の追い上げや内需の不振、それに加えまして、過剰設備による過剰生産のための低迷状態に入っておりまして、企業経営が非常に苦しくなっておることは事実であります。 このような難局に対処していくためには、産地組合が結束を強化いたしまして、まず業界みずからの努力により消費者需要の把握に努め、それに即応できる体制強化に努め、糸から最終製品に至るまでの一貫した生産販売体制を産地全体でつくり上げていくことが、今後の方向ではないかと考えておるのであります。 また、御指摘のように、特にアパレル産業、すなわちいわゆる衣服産業でありますが、これを重点として付加価値の高い分野への転換などを進めることが非常に重要であろうかと考えております。 当面の推進対策といたしましては、知識集約化を中心といたしました構造改善事業の積極的な推進を図りますとともに、国の内外におきます繊維見本市、求評会の開催等による販売促進事業を一層推進してまいりたいと思っておるのであります。 さらに、繊維産業が置かれている厳しい環境の中で、安定した生産体制を維持していくためには、新しい分野への円滑な転換を進めていくことも必要でありますので、今後は中小企業転換対策臨時措置法の活用も考えてまいりたいと考えております。 なお、県といたしましては、これからの繊維業界の課題と方向を示すために中小企業振興基本計画を考えておりますが、御意見も十分含めまして年度内に策定いたしたいと考えておるわけであります。 次に、人材の問題でありますが、国におきましても、繊維産業が消費者の要求に適合した繊維製品を供給し得る知識集約化構造に転換をいたしまして、衣服産業の充実を図る必要がありますので、昭和52年度におきまして人材養成機関の調査等もいたしてみたいと考えておるのであります。 本県におきましても、産地における繊維産業の導入、発展を図る上におきまして人材養成が最も必要でありますので、国の施策と対応しながら、これまで進めてきた職業訓練校におきますデザイン、縫製等の技能者養成機能を一層充実してまいりたいと考えております。 また、試験研究機関におきます技術開発や技術指導を一層強化するため、現在工業試験研究機関のあり方につきまして、総合的な検討を進めておるところであります。 なお、人材養成、技術習得のための学科新設等の考え方につきましても、教育長の方から答弁をしてもらいたいと考えております。 さらに、繊維振興基金制度の創設の問題でありますが、種々その後検討を進めてきたところでありますが、今年度末の信用保証協会の保証枠1,200億円の中で、保証債務残高は約700億円でありますこと、また一企業者の保証限度5,800万円に対しまして限度いっぱいの利用をしておる中小企業者はごく少数でございます。したがいまして、現行信用保証制度の中で十分対応できると思われる状況にありますので、当分基金制度の創設による保証枠の拡大についてはなお慎重に検討してまいりたいと考えております。 教育問題についてるるお話がありましたが、確かに、非行問題やあるいは少なくとも大学の合格率が最も悪いということは、何らか教育関係の内部に問題があるのではないか。これらも慎重に今後検討してまいりたいと思います。細部にわたっては教育長から答弁していただきます。 以上で答弁を終わります。   〔商工労働部長加藤孝君登壇〕 ◎商工労働部長(加藤孝君) 中小企業振興基本計画の繊維工業編についての進捗状況のお尋ねでございますが、現在合繊部門それから絹織物部門、ニット部門、それぞれこの3つのプロジェクトチームをつくりまして、そのほかにこれらの総括編をやはりまとめようということで作業を進めておるわけでございます。 それぞれのプロジェクトチームにおきまして各産地へ出かけまして、実情のさらに細部の把握であるとか意見聴取等もいろいろいたしておりまして、大体そういう資料の収集的な作業は終わり、そして各産地ごとにそれぞれ合繊、絹織物、ニット部門についての第1次試案の第1次部内検討は終わっております。 そこで出てきております、残された大きな問題ということでいまやっておりますのは、結局、たとえば、加茂なら加茂、あるいは五泉なら五泉、十日町なら十日町、見附あるいは栃尾、こういう産地を今後どういう方向に具体的に転換していくのか、繊工審の答申で触れておりますような方向、これは大局としては一応そういうことであろう、ただ、それを一体各産地ごとに具体的にどういう方向に転換していくのか、そういったところについてのできるだけ掘り下げた方向づけをしたいということでの論議を進めておるところでございます。 特に問題になりますのは、御指摘にもございましたように、こういう過剰生産というような形の中でどう転換を進めていくのかというようなところも大きな論点でございますし、中国あるいは韓国等の近隣諸国との競合製品をつくっておるところをどう付加価値の高いものに転換させていくか、その具体的なものは何だというようなところがやはりこれから大いに論議していかなければならぬ課題だと思っておりますが、一応2月ごろくらいまでにはそれらについての原案をつくりまして、関係業界等との意見交換を終わり、何とか3月末の年度内に取りまとめるところまでいきたい、こんなところで作業を進めておるところでございます。   〔教育長厚地武君登壇〕 ◎教育長(厚地武君) 最初に、繊維産業につきましての人材養成のため、特別の学科を設置すべきではないかという御意見でございますが、一般的に申し上げまして、職業学科のあり方につきましては、全県的な観点とそれから地域産業との結びつきという両面から私ども考えて、その設置を検討しているところでございます。ただ問題になりますのは、その学科を希望する生徒の動向がどうなるかということと、それから卒業生を受け入れる地域産業の実態といったものとの関連を十分考えていかなければならぬと思いますので、この点慎重に今後検討してまいりたいと思います。 なお、現状について申し上げますと、本県の高等学校におきましては、御指摘の学科に相当するものとして一応考えられますのは、服飾デザイン科というふうな学科になろうかと思いますが、これは一つも置かれてはおりません。それで、現在は被服科が18カ校で22学級という形で、この中でそういう教育が行われているというのが実情ございます。 それから次に、徳育教育の問題でございますが、これからの教育は知育、徳育、体育の3者が一体になった形で教育指導が進められるということがぜひ必要であるということは御指摘のとおりでございまして、特に、徳育教育は学校教育の基本にかかわる問題であるという認識に立ちまして、その充実に意を用いていきたいと考えております。特に、昨年度からは道徳教育推進地区を設けまして、地域社会や父母の皆さん方の御協力を得まして、学校と一体となって指導の徹底に努めるよう推進しているところでございます。 それからなお、今後の教育の進め方でございますが、国の教育課程審議会の最終答申が年内に行われる予定でございまして、その基本方針といたしましては3つございまして、1つは、豊かな人間性の育成、それから2番目にゆとりのある、しかも充実した学校生活の実現、3番目に、国民共通の基本的事項と個性、能力に応じる教育の重視という3つの項目が柱となっておりまして、この点につきましては、すでに国民的なコンセンサスも得られているというふうに考えておりますので、今後はこの方向に沿って教育を進めてまいりたいというふうに考えております。   ――――――――――――――――― ○副議長(高橋十一君) これにて一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○副議長(高橋十一君) お諮りいたします。 議案審査等のため、明12月16日から12月18日まで、及び12月20日から12月23日まで7日間、本会議を休会いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(高橋十一君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、12月19日は休日のため、本会議を休会といたします。   ――――――――☆―――――――― ○副議長(高橋十一君) 本日の議事日程は終了いたしました。 次会は12月24日午後1時から開くことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 △午後2時32分散会...